コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 空を飛部 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/24 03:05
- 名前: こるね (ID: mwz5SFMT)
「ギャアアアアアッ!! 落ちるゥゥゥゥ!!……………………………ってあれ? 俺、部室から飛び降りたんじゃなかった?」
あたりを見回してみるとそこは空を飛部《とぶ》の部室の中だった。
いつものように三つだけある机は、しっかりとくっつけられて大きな机を作り出していた。
「……さっきのは夢なのか? リアリティがすごかったから現実だと思ったぜ」
ってまてぇい! 何ださっきの俺は!?
俺の嫁? はぁ? 馬鹿じゃないのか?
かっこつけるときに言うセリフじゃなねぇだろッ! しかも最後の方なんて誰だよ?
俺は日頃あんな言動はしないぞ!? 明らかに違う人格入っていただろ!?
俺はさっきの夢の事を考えながら、激しく自己嫌悪に見舞われた。夢の事なのだがあまりにも現実味がありすぎて、どうしても夢だと割り切ることが出来なかった。
「…………………」
「…………………」
そして俺はまた自己嫌悪する事になる。
………なんで気づかなかったんだ? この部室には俺以外にも部員がいる事に。
そう、麗華とりん姉だった。
俺は、何とか振り向くことができた顔で、二人の表情を窺《うかが》った。
……………………絶望した。
いや、だってさ。俺の顔を見る目がなんかいつもと違うんだよ……。いつもは優しい目で見てくれるのに今回は…………。
顔すら見てくれなかった。
正確に言うと違うけど、俺の顔を見てるような感じで俺の後ろに焦点があるんだぜ?
これって、明らかに異常な行動だよな?
「い、いやぁ〜、二人とも。いたんだ?」
俺は、精一杯の勇気で彼女たたちに話しかけた。それはそれはさっきの夢で飛び降りるぐらいの勇気で。
「——ッ! …………………………………………………う、うん。」
麗華ああああああッ!! 何そのタメは!? 俺ってそんなに異常人に見えたの!?
そりゃ、一人で頭を抱えながらって馬鹿みたいな行動してたかもしれないよ?
でもそんなタメがいるくらいの話にくさなのか、今の俺はッ!?
麗華の様子は、明らかに挙動不審で俺の事から逃げるように視線をはずしていた。
一歩勇気を出して近づいてみた。
うん、見事に『ヒィッ!!』っていいながら後ろに下がられたよ。そんなに気持ち悪いって事なんだね。あはははは。
…………………。
…………………そんなに悪い事ですか? 飛び降り発言は?
「れ、麗華ちゃん。そ、そそそんなに引くこともないじゃなななないんですか?」
……りん姉……。そんな顔を引きつらせながらフォローしても、俺の心はえぐられるだけだよ?
りん姉は、必死に(顔を引きつらせながら)麗華を説得しようとしていた。多分、その中には自分の心も説得しようとしてる。そんな気持ちも混じっているはずだ。
二人とも俺の発言に対して明らかに動揺しているのが感じ取れたので、少し時間をおくことにする。
しかし、なんっていうんだ? さっきの夢といい、今の俺といい少し自爆している感じがあるな。冷静になった方がいいかもしれない。
少しずつ、問題を片付けていくか。
まずここは、部室。俺たち空を飛部の部室。部屋は十メートルぐらいの正方形の部屋に机が三つ。そこに教卓が一つあって、その部屋で俺は寝ていた。
しかし、人格が異常な俺がアホな事を考えながら(俺のコレクションの事)自殺した夢を見て、そこから奇声をあげながら目が覚める。
そこで、麗華やりん姉に見つかって今の現状。
この現状を元に戻すには、『説得』以外はないわけで。
……はぁ。
俺は、ため息をつきながら少し考えをまとめていく事にした。もちろん、説得するためにだ。そうしないとこの異常な環境からの脱出は不可能と感じたからだ。
「ちょっと聞いてくれ。麗華、りん姉」
俺はそう切り出して、怯えている二人に話しかけた。夢であった事をすべて話すためには二人の態度に我慢しつつ、語らなければならない。
「な、なに?」
「な、ななんですか?」
二人は少し怯えながら俺の話を聞いてくれた。