コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 空を飛部 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/26 22:11
- 名前: こるね (ID: mwz5SFMT)
「うん、最後の一言で意味が分からなくなった」
「……奇遇ですね、みなちゃん……。……実は私もわからなくなりました」
俺とりん姉は、顔見合わせていた。二人とも麗華かが何をいってるか全く分かってないからだろう。
結論は分かるとして、理由が分からない。
二人ともそんな感じだった。
「も、もう一回最後の部分いてくれないか……?」
麗華は仕方ないわねという感じに肩をすくめて、もう一回同じ事を言ってくれた。
「このまま社会に流されていいのかと思ってしまったわ。だからね、小説を書くのよ」
「だからそこがわかんないんだよッ!!」
俺は叫んだ。
しかし、麗華は怯《ひる》みもせず——
「いい? 考えてみて? この忙しい時に小説を書こうなんて思う人がいる?」
「まぁ、普通はいないだろうな」
てか、小説家になりたいやつ以外にそんなのがいたら、進路なめてるとしかいえないだろ。
「だがらこそそんな忙しい中でする必要がないだろ? 小説を書くなんて」
麗華がいくら頭がいいとはいえ、そんな事に現《うつつ》を抜かして失敗したら、俺は自分を許せないだろう。
だって、麗華は本当に大切な人だから。りん姉と代わらないぐらいに。
そんな大切な人が困る事が起きたなら俺は自分を罵倒するだろう。
何で止めなかったんだって。
けど、麗華はそんな俺の心には気づいていない。
「だ、だから、い、忙しいからこそでしょ?」
「はぁ?」
麗華は少し慌てていっているが、何をいいたいのか俺にはわからない。
「み、湊とかりんごと一緒にか、かか活動したいじゃない? だ、だから」
何を慌てているんだ麗華は? しかもさっきと言ってる事がほとんどが変わってないし。
「なるほどですね。今の一言で分かりました」
「なにぃー!?」
えっ? りん姉? 今の一言でほんとに分かったのか!?
りん姉の方を見てみるとどうやら嘘ではなく、本当に分かっているようだった。
しかも心が打たれようで瞳に涙を浮かべていた。
俺はそんなりん姉を見て、さらに分からなくなった。
(どういうことだよ、りん姉。教えてくれ)
りん姉にしか聞こえないぐらいのボリュームでりん姉に聞いた。
(つまり、麗華ちゃんは忙しいんですよ)
それは、俺もわかっているんだよッ!
(つまり、麗華ちゃんは部活動をしたいわけですよ)
…………………………。
……もしかして、俺って馬鹿にされている? なぁ、そうなのか?
(つまり——)
あまり、りん姉の言葉を期待せずに聞くことにした。
そしてりん姉はお姫様といわれる、その代名詞がつけられた理由が分かるぐらいの笑顔を見せてくれた。
(麗華ちゃんは寂しいんですよ)