コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 空を飛部 ( No.9 )
- 日時: 2011/01/03 15:42
- 名前: こるね (ID: mwz5SFMT)
ここは壊れた世界。
なぜなら私と湊とりんごしかこの世界には生きていないから。
厳密にいうと他の人も存在する。
——そう、ただ存在するだけ。
生きてはいない。ただの動くマネキン、もしくは話をする人形。
現実世界とは言えないような世界で、私たちは生きている。
そんなな不安定な世界での心の支えは湊だけ。
彼だけが唯一、何も知らずにこの世界で楽しく笑って生きている。それはもう子供みたいに無邪気で。
そんな彼だからこそ引かれたのかもしれない。
彼のすべてがあるからこそ私はこの訳のわからない世界で自我を保つことが出来る。
でも、そんな彼が
——飛び降りて死んだ。
それは些細なバグ。
ちょっとした石につまずいてしまうみたいに、机から消しゴムを落としてしまうみたいに、そんな些細なバグだ。
しかし、この世界とつながっている彼にとっては些細なバグですら人格が歪み、性格が歪み、時には彼の精神すら歪んでしまう。
つまり、本当の彼とは違う人物になるということ。その人の外見だけを残して。
実例をあげると、『嫁』発言と飛び降り自殺である。
彼の性格を考えて、笑えることを言うときがあっても決してあんな発言はしないだろう。さらに、彼は私たちの言葉で傷ついたからといって決して自殺するような人ではない。
なら、このバグはどうやって直すことができるか。
答えは簡単。
——出来ない。
パッチをあてたりデバックをすれば直るようなバグではない。
そんな簡単にバグが直るならば私はこうして苦労はしない。
いや、これも厳密に言うと直らないわけではない。
世界とつながっている湊が死ぬ事によってバグは直り、世界はある一点まで巻き戻しされる。
そうする事によって、バグは消え湊が死ぬ前に戻り、またこの不安定な世界が動き出す。
しかし、戻るからといって、直るからといって湊が死ぬ事に何の感情もわかないわけがない。
だって、心の支えなのだから。
とても大切な人なのだから。
湊が死ぬ度に私は、心が引き裂かれような思いで彼の死に際を見つめ、精神が崩壊してもいいぐらいに泣きながら彼の死体を確認し、そして心が壊される直前でまた彼が生きている時間まで戻される。
——まるで私たちをもてあそんでいるかのように。
だが、私は知っている。
どうしてこんなバグが起こるのかを。
それは
——もうすこしでこの世界が再構築されるから