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Re: 白金の陽炎 ( No.6 )
日時: 2010/12/26 16:30
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)

 どのくらいの時が経ったのだろう?
 キィ…と木の乾いた音が鳴り、薄暗かった部屋に太陽の光りが差し込んだ。
「…朔哉ッ!!」

 逆光に見て取れるのは、朔哉の影。
 …と知らない誰かのシルエット。
「…ッ!!」
 朔哉の身体は所々汚れていて、微かに出血しているようだった。
 その背後には、不敵な笑みを浮かべた先刻のパイロキノ。
 パイロキノが少し右にずれる…と現れる新たな影。
「獅戸…はこの家か?」
 低く、冷たい声が響く。琥珀は不安げに父親を見上げる。
 ——やっぱり逃げ切れなかったんだ…! 

「あ…」
 おもむろに父親は口を開いた。
「…いえ知らない奴らです。さっき、こいつが急にテレポートで現れまして…」
「とッ」
 ピ、ピピッ…ピ
 父さん、と言おうとして口を開くが電子音に阻まれた。
 首に付いているリミッターが微かに閉まり、息苦しくなった。

「お前ら! 来いッ!!」
「ちょッ…父さん!」
 琥珀は叫ぶ。朔哉は俯いたままだ。
「戯言も程ほどにしろッ!」
「ぐ…っ!!」
 腹を蹴られる。圧迫感と鈍い痛みに涙が滲んだ。

 連れ去られる子供達を見つめながら男は思った。
 ——事の始まりは数日前…いや、五年前の世界大戦“破壊カタストロフィー”の時からか。
   すべて思うままだ…