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Re: 嘘からはじまる恋 ( No.59 )
日時: 2011/01/21 23:54
名前: 蒼依 (ID: 9ihy0/Vy)


*第十三話* 大変なことになりました。

やだ…っ、落ちる…っ!!

私の体は床に向かってゆっくり、真っすぐに落ちていく。
何か掴もうと手を伸ばしたかったけど、両手はマイクで塞がれていた。
受け身も取れそうにない。目をぎゅっと閉じた。


「月野さんっ!!」


その時、私の腕を何かが掴み 私の視界は再び真正面に戻った。


誰…?


振り返ると息を切らしている谷口くんがいる。
私の腕を掴んで助けてくれたのは彼だったのだ。
そっと顔を覗き込むと少し怒っているのが分かった。

何故谷口くんは怒っているの? 何故ここにいるの? 仕事は? 終わったの?
…もう頭の中が色々パニック。


「危ないだろ!!ちゃんと足元確認しろよ!!」
「ご、ごめん…!」


谷口くんはそれだけいうとステージを下りて副会長からマイクを受け取りに行った。


私は何してるんだろう?

いつもとは違う、きつめの口調。
私は彼に心配をかけたのだ。一緒に司会をするパートナーに。

謝らなくちゃ。あとお礼も。

私も彼のあとを追った。


「谷口くん!ごめんなさい、心配かけて…あと、助けてくれてありがとう…。」
「ふぅ…。もういいよ。さ、月野さん。マイクテストしよう?」
「え、あ…うん。」


よかった…いつもの笑顔…。
私は何故かこの笑顔に安心した。





誰もいなくなったステージ。
下校の時間はとっくに過ぎている。


「はぁ…挨拶練習長すぎる…。」


やっと先生から解放された慎也は帰ろうと鞄を手に取った。
その時、ステージの下の方に何か落ちているのが分かった。


「これは何だ…?」


そこに落ちていたのは…


「月野…雅、従業員専用…カード?
 あいつ…まさか、バイトしてるのか…?」

           とんでもないことになったようです。