コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: サクラ ( No.100 )
日時: 2011/03/16 17:26
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: bLTkk.cx)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

第58話 「心からおめでとう」

数日後。
小春は無事退院して学校へ復帰した。
誰もが小春の退院を歓迎した。
「こはるん元気になってよかった〜」
「本当に心配だったよ」
小春も笑顔でみんなにお礼を言っていた。
「ありがとう。これからもよろしくね」

玲奈は小春のほうを見ないようにしていた。
読書に集中する。
しかしなかなか集中できなかった。
「玲奈おはよう」
その時水麻が登校した。
「おはよう」
水麻は玲奈の気持ちを察したようで玲奈を教室から出そうとする。
「ねぇ、トイレ行きたいんだけど着いてきて」
「うん」
二人が教室を出ようとしたその時。
「玲奈ちゃん」
後ろから声をかけたのは小春だった。

「あ、こはるん・・・退院おめでとう」
玲奈は俯き加減で言った。
「ありがとう。この前はごめんね。」
「ううん。全然」
水麻は会話を切ろうとする。
「こはるんごめん!トイレ行きたいんだ。私限界!」
そう言って足をばたばたする。
もちろん演技だ。
「あ、ごめんね。一言だけ言いたくて。私安藤君と付き合うことになったんだ。」
玲奈はゆっくり顔をあげると笑顔で言った。
「よかったね」
そのまま小春の顔を見ることなく後ろを向き水麻とトイレへ向かった。

予想外の一言に小春は驚いていた。
——そんなこと思ってないくせに。私は譲らないからね。
小春は玲奈を後ろから睨んだ。

トイレへ行く途中。
水麻はいらいらしていた。
「何あれ。絶対わざとよね。こはるんがそんないやがらせするなんて思わなかった。」
「うん・・・でも事実だし。」
「そうだけど!!」
「もういいんだ。私こはるんのこと嫌いじゃないし。そのうち心からおめでとって言えるようになれる気がするし。」
玲奈の表情はどういうわけかすっきりしていた。
「・・・・・そっか」
水麻もそれ以上なにも言わなかった。

一方教室では夏の登校により、
小春と夏が付き合うことになったという事実が明かされていた。
「こはるんと夏君かぁ!お似合い!」
「うんうん。いずれそうなると思ってた〜」
何も知らないクラスメイト達は二人を歓迎する。
ただ一人、玲奈と夏の関係を知っているあさかは無言でその様子を見ていた。

「あめでと。やっと夏にも彼女かぁ〜」
「お前モテるのに誰とも付き合わなかったもんな」
男子達が夏を冷やかす。
「もういいだろ〜」
やっと開放された夏はいつもどおり瞬の元へ行く。
「よ!瞬、サッカーしようぜ」
「なんでだよ」
瞬は夏を見つめて一言。
「は?」
「なんでこはるんとなんだよ。松井じゃないのかよ。」
夏はいらいらした。
「別にいいだろ。俺の勝手じゃん。」
瞬は少しの間夏の目を見る。
夏も瞬の目を見つめた。
「あっそ。確かにお前の勝手だよな。うん、サッカーしようぜ」
瞬が立ち上がる。
瞬は女子に囲まれている小春をちらっと見ると
夏と共にグラウンドへ向かった。