コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.104 )
- 日時: 2011/03/18 22:05
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: bLTkk.cx)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi
第59話 「あさか理論」
その日の放課後。
授業が終わると水麻は真っ先に玲奈の元へ行く。
玲奈はまだ怪我が回復しておらず、
松葉杖だ。
「玲奈、一緒に帰ろうか?」
今日はサッカー部が休み。
いつもなら玲奈を小春に任せて
瞬と帰っていた水麻だが今日からはそういかない。
「いいよ。親に迎え来てもらうから。坂木君と帰りなよ。」
「本当に?大丈夫?」
やはり水麻は不安のようだ。
「大丈夫だって!ほら、早く。」
水麻は玲奈にお礼を言うと足早に瞬を追いかけていった。
——どうしよ・・・今日お母さんもお父さんも帰り遅いんだった・・
玲奈は一人になった後後悔した。
一人では帰れそうもない。
そのときだった。
「玲奈・・・一緒に帰らない?」
そう声をかけて来たのはあさかだった。
玲奈とあさか。
一緒に帰るのは久し振りだった。
あの悲しい事実が明かされて以来、
話すこともなかったのだ。
あさかは玲奈の怪我を心配しながら
玲奈に歩調を合わす。
玲奈もこけないようにゆっくりと歩く。
「こはるんと夏君、付き合うことになったんだってね。」
あさかは以前と変わらない優しい口調で玲奈に言った。
「あ、うん。そうらしいね・・・」
玲奈は深く考えないように答えた。
すると突然あさかが立ち止まり玲奈の正面に立った。
「いいの!?玲奈はまだ夏君のこと好きなんでしょう?こはるんにとられていいの!?」
優しい声は変わっていなかったがあさかの口調には力がこもっていた。
「そうだよ。私夏のこと好き。この気持ちは誰にも譲れない。」
玲奈は力強くこぶしを握り締める。
「私、自分と夏君よりも玲奈と夏君のほうがお似合いだと思うんだ。
なんで夏君がこはるんを選んだのかは分からないけど、
玲奈の気持ち、大切にしないとだめだよ?」
そのあさかの言葉に玲奈は心を動かされた。
——神様・・・どうか私に最後のチャンスをください・・・・
「あさか、今日は一緒に帰ってくれてありがとう。」
あさかは結局
玲奈の家の前まで送ってくれた。
あさかの家は玲奈とまったく違う方向なのに。
「応援してるからね」
あさかはそう言うと
今来た道をゆっくりと歩み始めた。