コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.108 )
- 日時: 2011/03/21 21:40
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: bLTkk.cx)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi
第60話 「どこが好きなの」
翌日。
玲奈は昨日あさかに言われた言葉を胸に刻んで登校した。
玲奈の心は弾んでいた。
「おっはよ。あれ?なんか元気じゃん。どうしたの?」
水麻は玲奈の気持ちを察したようでにやけながら尋ねた。
「うん、ちょっとね。」
玲奈はにこにこしかえした。
二人で世間話をはじめた時、
小春と夏が一緒に登校してきた。
「お、こはるんと夏が来たぞ!ラブラブだなぁ〜」
ある男子がからかう。
小春は顔を真っ赤にして俯いた。
「こはるんがかわいそうでしょ!こはるん、こっちおいで!」
女子は小春をかばい、小春に質問しまくる。
「なんか進展あったの!?」
「デートはもうした!?」
小春は照れながらも嬉しそうに答えていた。
玲奈はもう見てみぬふりはしなかった。
「水麻、私達も聞きに行こう。」
そう言い女子の輪に入ろうとする。
「えっ・・?」
玲奈の変化に驚きながらも水麻は玲奈にひっぱられるようにして、
二人で女子の輪に加わった。
「はいはい!次質問していい?」
元気よく手をあげたのは詩織。
その横には柚姫もいる。
「夏君はこはるんのどこが好きなの?」
それはずばり玲奈が一番知りたいことだった。
「えっ・・・」
小春はどういうわけか黙りこくった。
その場の雰囲気が悪くなる。
「あ、夏君はそういうこと言わないタイプだもんね〜」
「どこというかこはるんのすべてなんじゃない?」
何人かの女子がフォローする。
「はい次の質問〜」
詩織も話題を変えようと必死だ。
しかし小春の表情はさらに悪化する。
ついには涙を浮かべ泣き出してしまった。
「こはるん泣くことないって。」
「夏君がはっきり言わないのが悪い!」
詩織と柚姫は小春の背中を摩った。
しかし小春は泣き止まない。
玲奈には小春が泣く理由がわからなかった。
——なんで泣くの?こはるんは今一番幸せなはずなのに・・・
「ちょ、夏君!こはるん泣かせちゃだめでしょ!」
詩織が男子の輪に囲まれている夏に向かって叫んだ。
「は?」
男子たちはなにが怒ったのかわかっていない。
「夏君はこはるんのどこが好きなの?」
詩織が夏に聞いた。
「え・・・?」
夏は口を開けたまま何も言わない。
「もう・・・い・・いよ・・・」
小春が泣きながら夏に呟いた。
「夏君は・・はじ、めから、私の・・ことなんて・・・好きじゃなかったんだから。」
小春はそういうと教室を飛び出した。
「おい、追いかけろよ!」
ぼうっと突っ立っている夏に瞬が怒鳴った。
「あ・・・うん・・・」
夏は気の抜けた返事をすると慌てて小春を追いかけて教室を飛び出した。
二人のいなくなった教室は異様な空気が流れた。