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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.116 )
- 日時: 2011/03/24 18:03
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: bLTkk.cx)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi
第65話 「素直に」
玲奈と夏は無言のまま歩き続けていた。
辺りはすっかり暗くなり、
玲奈と夏の足音だけが響いている。
——どうしよう・・緊張してきた・・・
玲奈は手に汗をかいていた。
何か言うべきか考えていた時、
夏が口を開いた。
「前に俺、『自分に正直になることにした』って言ったよね?」
玲奈は思い出す。
それは朝、玲奈と夏が話していた時のことだった。
あの時は小春に遮られ最後まで夏の話が聞けなかったのだ。
「うん。」
玲奈は小さな声で肯く。
「俺、一生桜のことだけを想って生きていくって桜が死んだ時から思ってた。けどだめだった。桜よりも好きな人ができたから。」
夏は一旦言葉を切り玲奈を真剣に見つめる。
「俺は玲奈のこと好きなんだ。世界で一番。桜よりも誰よりも。
だけど今までの俺はそれを認めれなかったんだ。
自分は桜が好きだとずっと言い聞かせてた。
本当は玲奈に出会って仲良くなってすぐに玲奈に惹かれてたんだ。
俺、玲奈のこと幸せにする。絶対誓うよ。」
「私、桜ちゃんのこと大好きだったよ。桜ちゃんの恋も応援してた。
けど、もし今桜ちゃんが生きていて夏のこと好きだったとしても、
今は応援してあげられないと思う。
私は夏のことを想う気持ちは誰にも負けない。
桜ちゃんにも譲れないの。」
二人は見つめあった。
そして吹き出す。
「俺らって似たもの同士だったんだな。」
「うん。頑固なんだね。」
夏は玲奈の元へ自分の手を差し出した。
玲奈は黙ってその手をとる。
二人は再び無言で歩き始めた。
しかし先ほどとは違い、
二人の顔からは幸せそうな笑みが漏れていた。
——桜ちゃん・・・私幸せになったよ。夏と結ばれたよ
星の輝く夜空には桜の笑顔が浮かんだ気がした。
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