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Re: サクラ ( No.117 )
日時: 2011/05/05 18:05
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: iEydDqYB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

最終話 「幸せになる」

翌朝。
玲奈はいつもより寝不足だった。
夏のことを想うと眠れなかったのだ。
「よし!頑張るぞ!」
頬を叩き、気合を入れた。

家の前では夏が立っていた。
「おはよう。」
「おはよ。」
二人は照れる。
昨夜玲奈の家まで送ってくれた夏は玲奈に言ったのだ。
「明日、ここで待っていい?」
夏と結ばれただけでも幸せだった玲奈は
涙が出そうなほど嬉しかった。
二人は歩き始めた。
昨夜とは違い、話が弾む。
いつもは長く感じる通学路もあっという間だった。

教室に入った瞬間、
水麻が涙ぐみながら駆け寄ってきた。
「玲奈〜よかったね。諦めなくて良かったね。」
そう言いぽろぽろ涙を流す。
「ありがとう。泣かなくて良いのに。」
「川谷、心配後無用!俺が玲奈を幸せにするから。」
夏は顔を真っ赤にしながら言った。
その言葉を聞いた瞬間水麻が冷やかす。
「玲奈良かったね。幸せにしてくれるって。」
それから水麻の質問攻めが始まった。

どういうわけか、クラスの過半数が二人が付き合うことになったことを知っていた。
あとから聞いた話、水麻が話したらしい。
「玲奈ちゃん!おめでとう。よかったね。」
夏と離れて独りになった途端小春が駆け寄った。
あさかも来る。
「おめでとう。玲奈。桜も喜んでるよ。」
「おめでとう。お似合いだね。」
詩織も柚姫も笑顔で祝福してくれた。
誰一人玲奈と夏に対して陰口を言うものはいなかった。

放課後。
みんなに冷やかされながらも玲奈と夏は二人で帰った。
夏が玲奈の荷物を持ってくれる。
足がまだ少し治らない玲奈は相変わらず松葉杖なのだ。
「俺、こうやって玲奈と二人で帰る日が来るなんて思わなかったな。」
「私もだよ。」
夕日が二人を照らし出す。
「ねぇ、夏。桜ちゃんの将来の夢覚えてる?」
夏は考えるまもなく即答する。
「天文学者だろ?」
「そうだよ。私が桜ちゃんの代わりに天文学者になるんだ」
「俺は科学者だよ」
夏は笑顔で言った。
「死んだ桜の分も俺らで頑張らないとな。」
「うん」
玲奈も笑顔で肯いた。
「桜ちゃんの分も幸せになるからね」
空に向かって叫んだ。