コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: サクラ ( No.123 )
日時: 2011/04/24 16:52
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: iEydDqYB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

番外編 あさかside

もう、あの二人ったら世話が焼ける!
やっと結ばれた。
本当に時間が掛かったんだから。
まあ私にはあの二人と出会った瞬間にわかってたけど。
いつかこの二人は結ばれるって。
私の恋は叶わないって。

私はずっと一人だった。
両親は共働きでろくに家にいなかったし、
一人っ子だった私はずっと一人で遊んでた。
小学校に入ると何人かは声をかけてくれたけど、
人見知りの激しい私は仲良くなろうとしなかったし、
別に友達なんていらなかった。
だから私は13年間友達を作ったことがなかった。
中学に入っても同じだった。
だから私は思った。
私は一生一人だって。
桜に会うまではそう思ってた。

「やった!同じクラス!」
「本当?嬉しい!」
中2に進級した春。
私は一人でクラス替えの表を見ていた。
周りでは一緒になれて喜んでいる子や
離れて悲しんでいる子がいる。
「Aか・・・」
私はA組。
友達なんていないからどの組でも一緒だけど。
そう思いながら私は一人教室へ向かった。

教室にはすでに数十人のクラスメイトがいろんなところで
ぺちゃくちゃ会話していた。
私は黒板に張り出されている座席表を見て足早に自分の席に着く。
そして本を取り出し読書を始めた。
周りではたくさんの笑い声が聞こえてくる。
いつもは平気なのに
なぜか涙が止まらなかった。
私はハンカチで涙を拭う。
けど涙は止まらない。
このとき初めて自覚した。
私は友達が欲しいんだ・・・
一人ぼっちが悲しいんだ・・・と。
「どうしたの?」
顔を上げるとそこには女の子が立っていた。
私は慌ててハンカチを納めるとぶっきらぼうに言う。
「別に。何にもないけど。」
いつもならここでみんな去ってしまう。
しかしその子は違った。
「何にもないって・・泣いてるよ?」
私はその言葉を聞いて再び泣いた。
とまらなかった。
その子は黙って私の背中を摩ってくれる。
「私は松井桜。友達になろうよ。」
そう言って。

その日から私と桜は急激に仲良くなった。
私は友達のよさを始めて実感した。
そして桜と仲良くなると同時に私は初恋をした。
「よ!今日も相変わらず馬鹿なことばっかしてんな。」
「うっさい!」
桜の隣の席の安藤夏。
いつも桜をからかっている。
それが私の初恋の相手。
なんとなく夏君が桜のことを好きって気づいたし、
桜も夏君のことが好きだって気づいてた。
だからあえて桜に言った。
「私、夏君のこと好きなんだ」
だから私に譲って。
桜は何もかも持っているでしょ?と。

もしあの時私が夏君のこと好きにならなかったら?
桜が夏君の誕生日プレゼントを買わなかったら?
今でも桜は生きてたの?
今でも時々そう思う。
まあ私が夏君と結ばれることはなかったけど。
だって玲奈がいるんだもん。
じゃあ今の私に出来ることは?
私と友達になってくれた最愛の親友桜の幸せを願うこと。
ねえ、桜、これでよかったよね?
玲奈と夏君が結ばれて喜んでるよね?
だから私も願います。
玲奈と夏君の幸せを。
そして桜のことを。
私と初めて親友になってくれた桜の願いを。