コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.16 )
- 日時: 2010/12/31 23:20
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
第13話 「夏休み」
「ちょ、玲奈声大きいってば!」
あさかに言われ玲奈は我に返る。
「あ、ごめん・・・。驚きのあまりつい・・。」
それでもまだ驚きは消えない。
「ね、何で?いつから?告白するの?」
玲奈はつぎつぎとあさかに質問を投げかける。
「玲奈落ち着いて。」
あさかは相変わらず冷静だ。
「夏君が転校してきてからずっと好きだったの。夏君は誰にでも優しくておもしろくって頭も良いし。告白は・・いつかしたいな。」
少しだがあさかの顔がほんのり赤くなっている。
「それでお願いなんだけど、私が夏君と二人でいれる時間を作って欲しいの。玲奈たちといるのも好きだけど、二人のほうが告白しやすいし。」
あさかは言った。
「わかった。いいよ。恋する乙女だね〜。応援する!」
玲奈は笑顔で言った。
しかし、玲奈はこの時忘れていた。
夏には誰だかわからないが大切な人がいることを。
翌日の夏休みから玲奈は毎日夏期講習に通った。
週に一度くらいあさかと水麻と遊んだが、
夏と夏休み中に会うことはなかった。
水麻はあさかが夏のことを好きだと聞いたとき玲奈ほど驚かなかった。
「うん。そうだろうと思ってたよ。」
と一言。
玲奈にとってあさかも水麻もなぜそんなに敏感なのか謎だった。
夏休み真っ盛りの8月10日。
玲奈はとある墓地の中にいた。
周りは誰もいない。
太陽がさんさんと玲奈を照らしている。
玲奈は「松井家」と書かれた墓の前に立ち、
静かに目を閉じる。
——桜ちゃん・・元気ですか?あれからちょうど3年がたったんだね。
玲奈はその墓に水をかけ、花を添えるとその場を立ち去った。
同じ日、夏は自分の部屋のベッドに寝転んでいた。
夏休みに入ってから夏は誰とも出かけていない。
瞬は部活で忙しいし、玲奈や水麻たちと連絡をとることもなかった。
夏は天井をじっと見つめ考えていた。
——あの日からちょうど3年か・・・あっという間だな・・・
夏は机の引き出しから紺の腕時計を取り出した。
——もしあの日あんなことが起こらなかったら俺の人生違ったのかな・・・・
夏はそっと目を閉じ一粒の涙をこぼした。