コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.20 )
- 日時: 2011/01/02 12:01
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
第15話 「あさかと玲奈」
「うそ!?え、何で?恋なんかしないんじゃなかったの?」
水麻はものすごく驚いている。
玲奈はとまどいながら答えた。
「えっと、何かあさかと夏が楽しそうな姿を見ているとやきもちやくっていうか・・・夏と二人で私がたくさん話したいとか・・。」
玲奈は自分でも何を言っているのかわけがわからない。
水麻は見開いた目を少し閉じて言った。
「それはまさしく恋だね!とうとう玲奈も初恋かぁ〜。でもどうすんの?あさかも好きなんでしょ?」
そうなのだ。
あさかも玲奈より前から夏のことが好きなのだ。
——あさかと仲悪くなりたくないけど・・・私も譲れない!
この時玲奈に闘争心がわいた。
「私、夏にアタックする!でも、あさかにはこのことは言わないで!」
玲奈はきっぱりと水麻に言ったのだった。
この時あさかは遠くから玲奈たちの様子を見ていた。
敏感なあさかはすぐにわかった。
——玲奈も夏君のこと好きになったんだ・・。でも私はどんな手を使ってでも夏君を振り向かせてみせる!
あさかも決意したのだった。
玲奈に夏をとられまいと。
「佐々木、どうしたの?さっきから怖い目してどっか見てるけど・・?」
夏が不思議そうに尋ねた。
あさかはすぐに笑顔になり言った。
「ううん、なんでもない。」
それからあさかと玲奈の間には微妙な距離が出来てきた。
玲奈がわざと夏とあさかを二人きりにすることは減り、
あさかも夏に対してのアピールが増えてきていた。
しかし、そんな二人に夏は全く気づかないようだった。
その三角関係を水麻は複雑な気持ちで見ている。
もともと玲奈の親友だから一応玲奈に協力しているが、あさかのことも嫌いではない。
正直二人ともが幸せになってほしかった。
そう思っている時、とうとうあさかが行動に出た。
「玲奈、ちょっとトイレ行こう。」
「うん。」
玲奈はためらいもなく着いていく。
「いってらっしゃい。」
夏と水麻は見送った。
——やな予感・・・・
水麻はそう思いながら。
「私、今日夏君に告白しようと思うの。」
トイレに着いた途端にあさかは玲奈に宣言するかのように言った。
玲奈は正直こういう日が来るのは分かっていた。
答えは決めている。
「そうなの!?頑張ってね。応援するから。」
もちろん何かの作戦や嫌味で言っているのではない。
これが玲奈の本心だ。
あさかが告白して成功したならば自分は失恋したのだから諦めよう。
でもあさかが失恋したら時間をおいて自分も告白しようと。
あさかは一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔で言った。
「ありがとう!私、頑張る。告白する時、玲奈に言うからね。」
そう言い、二人は教室に戻り始めた。
玲奈はこのときふと思い出した。
夏には大切な人がいることを。
——夏には大切な人がいるんだった!誰かわからないけど・・でも今更言ってもどうしようもないし。
そう思いあさかには言わなかった。