コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.21 )
- 日時: 2011/01/02 12:07
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
第16話 「追跡」
玲奈はこの日、あさかがいつ告白するのだろうとドキドキしながら過ごした。
何も知らない夏は涼しい顔をして授業を受けている。
その横顔を見ていると玲奈は癒された。
——夏、やっぱりかっこいいな。
嫌な予感がしている水麻はちょくちょく玲奈のほうを見ている。
玲奈は全く気づいていないが。
あさかは何ごともないかのように周りを全く気にせず真面目に授業を受けている。
何も起こらないままとうとう放課後になった。
ここでついにあさかが行動に出た。
「夏君、ちょっと来て。」
「ん?」
あさかの声は少しばかりか緊張していた。
夏は平然として着いていく。
教室を出る寸前、あさかが玲奈を見た。
その目は睨んでいるように見えた。
「ちょ、玲奈!あれは絶対告白だよ。行かなくていいの?」
水麻が焦った声で玲奈に言う。
「う、うん。止めないって決めたから。」
「でも!」
やはり水麻は納得いかない。
——やっぱり決めたっていっても気になる!着いていこうかな・・・
玲奈は迷い始めた。
そしてとうとう決めた。
「やっぱり着いていく!」
そういい残すと玲奈は教室を飛び去った。
水麻は満足そうに肯いていた。
あさかと夏が行った場所は体育館裏だった。
玲奈はばれないように草むらに隠れる。
「あの、私のこと覚えてない?」
あさかはいきなり変な質問を夏にぶつける。
夏は一瞬戸惑った表情をしたが正直に答えた。
「わかんねぇけど、昔あったことがある気がする・・。」
「そうだよ。」
あさかはそう言い、ポケットから黒縁眼鏡をし、髪を茶色いゴムでポニテールにした。
その途端夏の顔色が変わった。
「あ!まさか、お前・・・吉沢あさか・・・?」
「さすが夏君。そうだよ。今は両親が離婚して佐々木だけど。」
玲奈にはよくわからない。
「同じ中学校だったよね。海棠中等学校。中2のときなんて同じクラスだったし。」
「あぁ・・・。」
夏は思い出したのか複雑な表情で聞いている。
——海棠中等学校・・・?桜ちゃんと同じ・・
玲奈はさらに耳を立て話を聞く。
あさかは話し始めた。
「私、中2の時から夏君のこと好きなの。夏君が転校してからも忘れられなかった。」
どうやら夏は海棠中等学校を途中で転校したようだ。
「ごめん。俺、ずっと好きな人いるんだ・・。」
夏はすまなさそうに言う。
——夏の好きな人?誰なの!?
玲奈は夏の好きな人がとうとうわかるということで興奮気味だ。
「夏君の好きな人って私なんとなくわかってたんだぁ。」
あさかは不敵な笑みを浮かべた。
「え・・・?」
夏の顔からは笑顔はない。
「中2のとき、私と仲が良かった桜でしょ?」
玲奈はそれを聞いた瞬間に思わず、
「うそでしょ!?」
と叫んでいた。