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Re: サクラ ( No.31 )
日時: 2011/01/04 18:18
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)

第22話 「恋と友情」

桜は授業中もずっと考えていた。
自分はどうして夏のことが好きだということが
親友のあさかに言えなかったのか。
その理由は簡単なことだった。

それは3ヶ月前の5月のこと——
「桜って好きな人いないの?」
あさかと仲良くなって早1ヶ月。
桜とあさかは二人で話していた。
「え?私?私恋したことないんだよね〜だからいない!」
このとき桜はまだ夏を意識していなかった。
「へぇ!そうなんだ〜。」
あさかは驚いた顔をして言う。
「あさは?いるのかぁ〜?」
桜がにやにやしながら聞いた。
「うん。実は、私中1の時から夏君のこと好きなんだよね。」
「えぇ〜!?」
この時も桜はいつかみたいに大声で叫んだ。
「夏ってあの安藤君?ちびちびってからかってくる?」
「うん。夏君、桜にはからかってるけどすごくかっこいいんだって!」
そういうとあさかは夏のことを延々と話し始めた。
桜は夏のいいところがさっぱりわからない。
まさか自分がこの1週間後に夏に恋するとは思ってもいなかった。

桜は友達よりも恋をとるというタイプではない。
あさかが好きだと知っていながら夏のことを思うのには
かなり罪悪感があった。
そのためあさかには言えなかったのだ。
言えたらあさかの告白に協力することもなかったのだが。
——はぁ・・・どうしようかなぁ・・

「桜!おい、桜!」
ふと我に返ると夏が必死で桜を呼んでいた。
夏だけではなくクラス中の視線が桜に集まっていた。
「松井、何ぼうっとしてるんだ?ほら立て!さっき問題の答えは?」
教卓に立っていた社会の田中先生が桜に言った。
桜は聞いていなかったため答えなどまったくわからない。
「えっと・・・。う〜ん・・・。」
桜が困っていた時、
「大日本帝国憲法。」
夏が教えてくれた。
「大日本帝国憲法です。」
正しい答えを言った桜に田中は少し驚きながら桜を座らせた。
席に着いた桜は夏にお礼を言おうと隣を見た。
「ありがとう。」
夏は笑ってピースサインした。
桜はそんな夏にさらにときめく。
——だめだ。私やっぱり夏が好き・・・。
  あさかには悪いけど夏休み中に夏に告白する!
桜はそう決心したのだった。
あさかを裏切ってでも夏を選ぶと。