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第２３話　「負けない！」

そうして夏休み前最後の学校が終わった。
夏はいつものようにサッカー部へ、
あさかは用事があるといって下校。
桜も吹奏楽部へ向かった。
「じゃあ、桜夏休み遊ぼうね！」
あさかが言う。
「夏君の誕生日プレゼント一緒に選んで！」
そう小声で付け加えながら。
「う、うん。」
桜は精一杯の笑顔で言ったつもりだ。
あさかはそれを聞くと嬉しそうに帰っていった。
夏はもうとっくにユニフォームに着替え、部活へ向かっていた。
桜は思わずその背中に向かって呼びかける。
「夏！誕生日プレゼント楽しみにしててね！」
夏は振り返ると少し驚いた顔をしたがすぐに笑顔で言った。
「マジ！？やった！楽しみにしてるぜ！」
夏はピースサインをしてグラウンドへ駆けていった。
桜はものすごく幸せだった。
——どうか夏がプレゼントを喜んでくれますように

部活を終えた桜は家に着くと真っ先に玲奈の部屋へ向かう。
早速今日あった出来事を話す。
あさかが夏に告白すると決意したこと。
夏が社会の時間に答えを教えてくれたこと。
自分も夏に告白すると決意したこと。
玲奈は驚いたり喜んだり笑ったりしながら聞いてくれた。
桜が告白すると宣言した時はそうとう驚いていた。
「よく決意した！桜ちゃん！その親友なんて気にしないの。」
玲奈は笑顔で言った。
桜はとても嬉しかった。
「ありがと。私頑張るよ。」
桜は吹奏楽部でほぼ毎日部活があるため、
夏の誕生日プレゼントは桜の部活が午前で終わる、
8月10日に買いに行くことにした。
——早く8月10日にならないかなぁ・・・。
二人はこの日を楽しみにしていた。