コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.4 )
- 日時: 2011/01/03 15:26
- 名前: 柚莉愛 (ID: LV9Enekb)
第5話 「夏の好きな人」
「おい、夏お前松井のこと好きだろ??」
夏は玲奈からノートを借り、自分の席に戻ってきた途端に友達の坂木瞬(さかきしゅん)に言われた。
「はぁ?好きじゃないし。ただの友達だよ。」
夏は笑いながら答えた。
しかし瞬は先ほどの水麻のように真面目な顔で言った。
「じゃあなんで呼び捨てしあってんの?それに、やたらとよく話すし!仲良すぎじゃね?」
夏は少し考えて答えた。
「う〜ん・・・玲奈はなんていうか、好きとかじゃなくて、友達になりたい!って思ったんだよ。」
瞬は驚きながら言う。
「友達になりたいって女子に対して思うわけ?それってやっぱ好きなんだろ!?」
瞬はしつこい。
「本当に友達になりたいって思ったの!てか、俺好きな人いるし・・・」
夏は予想外の言葉を口にした。
さらに驚いた瞬は興奮気味に夏に詰め寄る。
「誰!?そんなの初耳だよ!俺とお前は友達だろ?教えてくれよ〜。」
そんな瞬に夏は一言。
「さあな。もう一生会うことはないけど・・・。」
「えっ!?何?もう一回!」
夏はいたずらっぽく
「もう言わねぇ!」
と、言い放つと玲奈の元へノートを返しに向かった。
その後も玲奈と夏はさらに距離を縮めていった。
授業中も話しすぎて怒られるほどだ。
休憩時間などは玲奈は水麻と、夏は瞬といることが多かったが、
放課後はサッカー部の瞬は部活のため、
3人で帰ることもしばしばあった。
玲奈は男子とここまで仲良くしたことがなかったため、
正直驚いていた。
夏のよさがどんどんわかっていく。
時に夏が女の子だったら一番の親友になれるのにと思うことさえあった。
しかし、玲奈にはどうしても気になることがあった。
夏の「大切な人」だ。
男子のいう大切な人とはおそらく好きな人のことだろう。
その人のイニシャルがAやYだったら全く気にならなかっただろう。
しかし、その人のイニシャルが「S」なのだ。
このときお互いが何も知らなかったら、
二人の関係はこのまま続いていたかもしれない・・・