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Re: サクラ ( No.40 )
日時: 2011/01/08 21:48
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)

第26話 「私の夢をあなたに託す」

二人は満足げにデパートを後にした。
「良かったぁ!いい品物があって。」
「よかったね。」
あとは学校に行って手紙とプレゼントを置くだけ。
ここから先は桜一人で学校へ向かう。
玲奈は学校の前の信号で待っている。
「じゃあ行ってくる。」
「うん。気をつけてね。」

桜は学校に入った。
人気のない学校は少し怖い。
今は夏であるため5時の今でも明るいが
嫌な静けさだった。
桜は自分のクラスに入り夏の机を確かめ、
机の中にプレゼントと手紙を入れた。
「これでよし!」
ちゃんと入れたことを確認した桜は急いで学校から出た。
——明日は告白かぁ!上手くいきますように。
桜はどきどきしていた。
校門を出ると玲奈目掛けて突っ走る。
「玲奈〜!」
玲奈が信号の先で待っていた。
思わず桜は玲奈に向かって突進していた。
信号が赤なのにも気づかずに。
数秒後道路には玲奈の悲鳴とトラックの急ブレーキ音が響き渡った。

8月10日 午後5時14分。
松井桜は亡くなった。
13歳という短い生涯だった。
トラックに撥ねられた桜はすぐに心停止し、
そのまま手当ての甲斐なく天国へ旅立った。
「どうして!ね、桜ちゃんなんで逝っちゃったの!?」
玲奈は病院で泣き叫んだ。
両親も泣いている。
どうして・・・
どうして・・・
桜ちゃんが?
神様なんであんなに心のきれいな優しい桜ちゃんの命を奪ったの?
何で桜ちゃんだったの!?

次の日行われたお通やでも玲奈はほとんど泣いていた。
そのため誰が来たのかわからない。
いつの間にか終わっていた。
お葬式もそうだった。
結局玲奈は桜の好きな人を知らずじまいだった。
桜も夏に告白できなかったのだ。
お葬式の日の夜玲奈は夢を見た。
夢の中には桜が出てきた。
「桜ちゃん!」
桜は悲しそうに言った。
「玲奈いつまでも悲しまないで・・。私は玲奈と双子で幸せだったから。好きな人の誕生日プレゼントも買えたし。けど一つだけわたしがかなえられなかった夢があるの。」
「夢?何!?」
夢の中の玲奈が聞く。
「うん。それは天文学者になること。小さい頃からの私の将来の夢。ねぇ、玲奈がいいならこの夢玲奈に託していい?」
玲奈は即答する。
「もちろん!私桜ちゃんの夢叶えるからっ!」
桜は小さく肯くと消えた。
夢から覚めた玲奈は決意した。
「絶対天文学者になる!!私が桜ちゃんの夢を叶える。そのためならたくさん我慢するから・・。」
玲奈はこの日から桜のために生きると決めた。
そのためなら恋も犠牲にすると——