コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.42 )
- 日時: 2011/01/08 22:03
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
第27話 「一目ぼれ」
4年前——
「ここが海棠中等学校かぁ・・・。」
ぴかぴかの中学1年生の安藤夏は校門の前で校舎を眺め呟いた。
——なんかいかにも優等生が通いそうな学校だな・・・
夏はため息つく。
夏の父親は政治家。
母親も高校教師をしている。
そんな二人の間に生まれた夏は小さい頃から勉強ばかりの毎日だった。
別に勉強は好きでも嫌いでもなかったし、
言われるままにしてきたが夏は決してがり勉と言うわけではなく、
自ら望んでこの学校に受験したわけではなかった。
だが、しかたない。
両親の期待が掛かっているから。
「今日から頑張ろうっと。」
独り言を呟くと夏は校舎に入っていった。
仕事の忙しい両親は、
夏の中学校の入学式には来れない。
小さい頃から学校行事にはほとんど参加してくれなかった両親だったため、
夏はこんなの慣れっこだった。
クラス表を見に行く。
ほとんどの新入生は親とクラス表を見ている。
「俺はっと・・。」
夏は1−Cだった。
夏の小学校からこの中学校に来たのは夏一人だったため知り合いはいない。
そのためクラスはどうでも良かった。
夏はクラスを確認し自分の名前が書いてある靴箱に靴を入れる。
そうして自分の教室を校内地図を見ながら探し始める。
「えっと・・こっちか・・。」
その時、
夏の前方から勢い良く女の子が走ってきた。
その子はそのまま夏に突っ込む。
二人はぶつかった。
「きゃあっ。すみません!大丈夫ですか?」
その子は見た目的に新入生だろう。
「いえ・・。こっちこそよそ見しててよけられなくて・・。」
夏はその子の顔を見た。
その子は色白でほっそりしていて、
背は低め、髪は二つで縛っていた。
その子はにこっと微笑むと夏に言った。
「ありがとうございます。怪我はないですか?」
「は、い・・。」
夏は呆然として答えた。
その子はさらに微笑むと一礼して去ってった。
——あの子何組だろ・・・?かわいい・・・まさか俺あの子に一目ぼれした?
夏は先ほどぶつかった女の子に一目ぼれしてしまった。
その女の子とは松井桜である。