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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: サクラ ( No.49 )
- 日時: 2011/01/09 21:51
- 名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi
第30話 「松井桜」
それからも夏は洋介に桜のことを言えぬまま、
あっという間に月日はたち9月に入った。
9月といってもまだ蒸し暑く、
海棠中等学校には全教室にクーラーがついていたため、
授業は快適だったが
そのぶん廊下の暑さが目立っていた。
「暑い・・。次はこんなに暑いのに体育だってさ!」
夏は洋介とともにぶつぶつ言いながら男子更衣室に向かっていた。
「まぁまぁ。夏運動好きだろ?すぐ元気になるさ。」
洋介が言う。
そのとき二人の正面から桜とその友達が歩いてきた。
夏は思わず咳払いをした。
まるでそれが合図だったかのように、
夏の真横で桜が持っていた教科書を落とした。
「あっ・・。」
桜ではなく夏が言った。
「どんくさいね〜。全く!」
桜の友達が笑った。
桜も教科書を拾い始める。
夏は咄嗟に桜が落とした英語のワークを拾った。
名前の欄を見る。
そこには、1-A 松井桜 と書いてあった。
——松井桜・・・。へぇ・・こういう名前なんだ。
夏は拾ったワークを桜に渡す。
「はい、どうぞ。」
桜は同級生とわかっていたのか、
「ありがとう!」
と笑顔で言った。
夏は嬉しいのを必死で隠しながら洋介とともに更衣室へ向かった。
夏の頭の中では松井桜という言葉が何度も繰り返されていた。
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