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Re: サクラ ( No.64 )
日時: 2011/01/16 19:44
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

第42話 「放課後の質問コーナー」

玲奈はトイレの鏡で自分の顔を確認した。
「よし!」
目が赤くなっていないのを確認すると教室へ入った。
時刻はすでに8時をすぎており、今日室内は活気に溢れていた。
「あ、玲奈!おはよ。どこ行ってたの?」
水麻は今来たらしく荷物を整理しながら玲奈に話しかける。
「あ、ちょっとトイレに・・。」
玲奈は先ほどの出来事を言う気にはなれなかった。
水麻は玲奈に瞬のことを延々と話し始める。
「あのね、来週は二ヶ月記念なの!だから遊園地に行こうって言われて。」
今日は9月15日。
水麻と瞬が付き合い始めて早くも2ヶ月が経とうとしていた。
「そっか!おめでとう。」
それから玲奈は水麻の話をチャイムが鳴るまで聞き続けた。

チャイムが鳴ると玲奈は自分の席に着く。
隣の席に夏が座る。
二人は目を合わすことなく読書を始めた。
玲奈は先ほどの出来事が遥昔のことのように感じた。
——私と夏はずっと昔から関係なかったんだから・・・
玲奈は自分に言い聞かせる。
この日は玲奈にとって途轍もなく長く感じられた。

そして放課後。
玲奈は帰る準備をしていた。
水麻はチャイムが鳴るなり瞬の下へ駆けつけて帰ってしまった。
こういうとき玲奈はあさかと帰っていたのだが、
あさかはこの日から水麻と玲奈を避けるようになり、
一人で教室を出て行ってしまった。
——仕方ない・・・一人で帰ろう。
その時だった。
クラスメイトの高江柚姫(たかえゆずき)と吉野詩織(よしのしおり)が話しかけてきた。
「ねぇ、玲奈ちゃん。聞きたいことがあるんだけど。」
玲奈は柚姫と詩織とはあまり仲が良いわけではない。
柚姫とは玲奈は小中学校が同じだ。
詩織は中学校が同じだった。
しかし二人はクラスの中心的メンバーで、
玲奈とは縁のない人だった。
放課後の教室は玲奈たち3人しかいない。
「玲奈ちゃんって夏君と仲良かったよね?」
柚姫が言った。
「あ、うん・・・。それが何か?」
玲奈はあまり触れて欲しくないところに触れられてどきっとした。
「ずばり聞くけど二人は付き合ってんの?」
今度は詩織からの質問。
玲奈はこれには猛烈に反論した。
「いやいや違うよ。私夏のこと好きじゃないし。」
それを聞いた柚姫と詩織は手を取り合って喜んだ。
「ほら。やっぱり。違うって言ったでしょ?」
「でも・・・。心配だったし。」
玲奈には状況が飲み込めない。
玲奈の様子を察したのか詩織が言った。
「あのね、柚は夏君のこと好きなの。」
「え!?」
柚姫を見ると顔を真っ赤にしている。
詩織が柚姫の代わりに言った。
「だから二人が付き合ってるのか確認したくて。良かったね。柚。」
玲奈には返す言葉がない。
「玲奈ちゃん・・・誰にも言わないでね。」
柚姫は恥ずかしそうに玲奈に言った。
「うん・・・。」
玲奈にはこういうしかなかった。