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Re: サクラ ( No.80 )
日時: 2011/01/30 18:54
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

第49話 「そばにいて」

夏は慎重に玲奈を抱きかかえる。
それを見た瞬が心配そうに言った。
「大丈夫か?俺も手伝おうか?」
「大丈夫。」
夏はそう言い歩き始めた。
相変わらず玲奈は意識が戻らない。
「ちょっと道あけて」
夏の一言で野次馬達は道をあけた。
誰もが夏の後姿を見つめていた。

——なんで俺玲奈を運んでるんだろ・・・
  他に力持ちの男子なんていっぱいいるのに・・・
保健室に向かう最中。
夏は一人考えていた。
どうして自分が運ぶといったのか。
自分でも理由がわからなかった。
その時。
玲奈が夏のTシャツの袖をわずかにつかんだ。
「玲奈!?」
夏は意識が戻ったと思い必死で呼ぶ。
しかし玲奈から返事はない。
「夏・・・」
意識のないはずの玲奈が自分の名前を呼んだ。
夏はとにかく保健室へ急いだ。

「貧血ね。」
保健の先生、近藤が言った。
「そうですか。」
夏は一安心する。
「でも、足の骨が折れている可能性があるから念のため病院に行かせるわ。」
「あ、はい。じゃあ俺はこれで。お大事に。」
保健室を出ようとした夏を近藤が止める。
「私、職員室に行かないといけないからあなたがそばにいてあげて」
「え?」
思いもよらない一言に夏は戸惑う。
「もしものことがあったらいけないし。意識が戻ったら病院に行くから」
近藤はそう言い残し夏を押しのけ保健室を出た。
「まじかよ・・・」
夏は仕方なく玲奈の側へ椅子を持っていき座った。