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Re: サクラ ( No.91 )
日時: 2011/02/13 15:03
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

第54話 「涙の道」

午後の授業はあっという間に終わった。
水麻はというと5時間目の途中で
げっそりとして戻ってきた。
玲奈は授業中夏に見とれていた。
夏は玲奈の視線を感じることなく
時々小春と話しながら授業を受けていた。

そして放課後。
「玲奈怪我大丈夫?私瞬と放課後デートだから一緒に帰れないんだけど。」
水麻がトイレの鏡で髪を整えながら言う。
「私今日こはるんと帰るから大丈夫だよ。」
「そっか。気をつけてね。」
水麻は携帯を片手にトイレを出て行った。
玲奈も松葉杖を突きながら教室へ向かう。
その時水麻とすれ違った。
「じゃあね!また明日。」
「うん。デート楽しんでね。」
水麻は手を降りながら走ってった。

「玲奈ちゃん帰ろう。」
教室に入ると小春が玲奈の机付近で待ち構えていた。
「う、うん・・・。」
玲奈は一旦椅子に座ると帰り支度を始めた。
小春もそれを手伝う。
「終わったよ。」
「じゃあ行こうか。その荷物持つよ。」
小春が玲奈の荷物を持った。
「ありがとう。」

学校を出るまで二人は無言だった。
正門を出た途端小春が口を開いた。
「玲奈ちゃんは好きな人いないの?」
玲奈はしばらく黙っていた。
小春も大人しく返答を待つ。
「いるよ」
やっとの思い出発した一言。
「誰?」
やはりそう来たか。
玲奈は意を決して言う。
「夏。」
小春は驚かなかった。
表情にも変化はない。
「やっぱりね。じゃあ私の応援はしてくれないの?」
「うん。」
玲奈は小春と目をあわさず答えた。
小春は大きく深呼吸をすると玲奈を真剣に見つめて言った。
「私は譲らない。たとえ安藤君が玲奈ちゃんのこと好きでも。」
小春はその場に玲奈の荷物を置くと
振り返ることなく走り去った。
玲奈は松葉杖に荷物をひっかけ、
ゆっくり家路を目指した。
——きっと夏は桜ちゃんでも私でもなくこはるんを選ぶと思う
玲奈の目から涙が溢れた。