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Re: サクラ ( No.94 )
日時: 2011/03/07 23:06
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: LV9Enekb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi

第55話 「思いもよらない一言」

「はあ・・・」
家に帰った小春は
ベッドに寝転ぶと大きなため息を漏らした。

小春は退院して
学校に復帰するなり
夏に惚れた。
夏の全てが自分とは違って好きだった。
小春は玲奈が夏のことを好きだと気づいていなかったわけではない。
うすうす感づいていたのだ。
しかしそれが事実だとわかると
異様にむしゃくしゃした。
——玲奈ちゃんには絶対渡さない・・・
小春は勢いよく起き上がると
机へ向かい勉強を始めた。

翌日。
車で学校まで送ってもらった玲奈は
いつもよりかなり早く学校に着いた。
一人で階段を上るのには苦労したが
どうにか教室へたどり着いた。

教室に入ったが誰もいない。
玲奈は席に着き読書を始めた。
昨日小春に言われた言葉が蘇る。
——こはるんのあんな姿初めて見たなあ・・・でも私だって夏のこと大好きだし
そんなことを考えていると、
教室の扉が開き夏が入ってきた。
玲奈は思わず目を丸くして夏を見つめる。
夏は玲奈の視線に気づいたようだ。
「何?」
それは玲奈がいままでに聞いたことのない優しい言い方だった。
「いや・・・別に・・・なんでもないよ。」
玲奈は言葉につまりながら答える。
夏は少し間を空けると玲奈に言った。
「俺さ、玲奈が倒れた時なんで運んだのか自分でもよくわかんないんだよね。」
「え?」
思いもよらない一言に玲奈は絶句する。
「そりゃあ人が倒れたら助けるのは普通だけど、何も俺じゃなくったって良かったじゃん?」
玲奈は凍りついたように動かない。
「瞬に言われたんだ。『自分に正直になれ』って。」
玲奈には夏が何を言いたいのかさっぱりわからなかった。
「だから俺は自分に正直になることにした。だから・・・」
夏がすべてを言い終わらないうちに
教室の扉が勢いよく開いた。
そこには小春が立っていた・
「だめ!そんなのだめ!」
玲奈と夏は目を丸くして小春を見つめた。