コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君のために *実話* ( No.30 )
- 日時: 2011/01/31 17:17
- 名前: 未羅 ◆I/.b8govos (ID: S7/.WdDv)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第九話**
何事もなかったように刻々と授業は始まった。
私はあの後、急いで席に戻った。
皆はいつもどうりだった。
でも私の脳内に蘇るのは、可奈の悲しそうな顔だった。
私の席から、可奈の顔は見えないけど可奈はずっとうつむいてる。
私は昔から自分が思ったことをぽん、っと言ってしまう癖があった。
それは自分自身にとっては簡単なことで言われた相手にとっては一番傷つく方法だった。
『私のせいで人を傷つけた』
と思うと嫌で嫌で仕方なくて味方がほしかった。
誰でもいいから私のことをわかってくれる味方がほしかった。
それはわがままだって自分でもわかっていた。
でも私だけの味方がどうしてもほしかった。
怜という味方がほしかった。
***
授業が終わっても真未はずっと可奈の話を聞いていたと思う。
真未と可奈の席は前後だったから話しやすかったんだと思う。
しかも真未の隣は怜だったので真未が怜に何か言ってるのもわかった。
遠くで見てるだけで何も出来ない私はただ見守るのと願うことしか出来なかった。
私の周りには誰もいなくて、逆に泣きそうな可奈の周りにはたくさんの人がいた。
それは私にとって大きな大きな壁で、そして恐怖の塊だった。
私だって泣きたかったのに、
寂しかったのに、
なんで私の周りには誰もいないの?
声にだして『苦しい』って言わないから?
『苦しい』っていったら皆は私の周りにいる?
君もきてくれた?
涙なんてでなかった。
表に出ない涙は私の中のコップに一滴ずつ溜っていく。
いつか溢れてしまうことを知らずに。
***
「宇乃ー、どうしたの?」
「・・・え?」
「いや、最近元気ないじゃん」
そう話しかけてくれたのは友達の『柴田 華南』だった。
華南は男女からいじられてるけどとても優しい人だった。
突然の優しい言葉に私の中のコップは割れた。
今までは警戒をしてたのかもしれない。
何も知らない華南は戸惑っていたけど私の頭を優しく撫でた。
『大丈夫、宇乃なら大丈夫』
ずっとそう言って頭を撫でてくれた。
その言葉が私の涙をもっと引き寄せた。
今までたまっていたのが一気に出たような気がした。
14歳の冬。
被害妄想をして自分は一人だなんて思っていた私の心を支えてくれたのは純粋な華南の優しさだった。
第九話** end