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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: スキマノハザマ ( No.1 )
- 日時: 2011/01/29 20:02
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
#0 prologue
朝の公園は肌寒くて、少し霧がかっていた。
いつもより一定のリズムで刻む自分の心臓の音しか聞こえない静まり返った空間。息を吸う音さえもうるさく感じてしまうほど、いつになくそこは静寂に包まれている。
不思議なことに、今俺の中には不安も恐怖もない。あるとすれば——
ザァ——……
その時、急に強い風が吹いた。
葉が落ちた枯れ木が、音を立てて揺れる。ブランコが揺れ、金属が擦れ合う音がする。自分の癖のある黒髪が視界を邪魔する。
でも、俺はその風が止むのを待つことなく、風に吹かれてぼさぼさの髪を直すこともしない。ただ、目の前のブランコに乗っている少女に向かってまっすぐに言った。
朝日がゆっくりと昇っている。
——街には、もうすぐ春が訪れようとしていた。
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