コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: スキマノハザマ Prologue追加。大幅修正予定 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/11 13:41
- 名前: 椎奈 ◆bbb.....B. (ID: 20F5x0q3)
#1
「智也、朝よ! 起きなさい!」
夢と現実の間でそんな母の声が聞こえた。
しかしそれは夢などではなく、どうやら朝のようだ。
目は開いたが体は鉛のように重い。
カーテンの隙間から漏れる太陽の光が何故か鬱陶しくて、隙間を塞ごうと手を伸ばす。しかしその手はカーテンには届かずにベッドに落ちた。
隙間風が小さくカーテンを揺らし、それと共に隙間から漏れる日の光も揺れた。
「……ふぅ」
俺は小さくため息を漏らすと仕方なく起きあがり、カーテンを開けておおきく伸びをした。眩しい朝の陽が部屋の空気に溶け込む。
天気もよく、気持ちのいい朝のはずなのだが、どうも気分は重い。
クローゼットから出した制服に着替えて階段をゆっくりと下ると、殺風景なリビングでは仕事用の服に着換えた母親があわただしく仕事へ向かう準備していた。
「あ、やっと起きてきた」
「おはよ」
頭をぼりぼり掻きながら定番の挨拶を言うと、母は不満そうな顔。
「もう、いつまでぼーっとしてるの? あたしも仕事なんだから、急いで準備しなさい」
「はいはい」
俺の家は両親共働きの3人家族。
母親は仕事と言っても、地元のスーパーでレジを打ついわゆるパートなのだが。決して裕福なわけではないが、それなりに不自由ない生活を送っている。
母親は俺がご飯を食べ始めたのを見届けると、「それじゃ、行ってくるね! 戸締りだけ忘れないでちょうだい」と言い捨て、小走りで家を出ていった。こんな田舎、戸締りを怠っても泥棒なんか入らないと思うの
だが、母親は毎回仕事に行く前に決まってそう言っていた。
一方父親は、俺が起きるころには仕事に行っていて、俺が寝た後帰ってくるため、しばらく会っていない気がする。
食卓に並んだ覚めた朝食を食べながらふとテレビの隅に映る時刻を見ると、もうすぐ八時になろうとしていた。
「やべ」
急いで準備し、きちんと戸締りも確認して、俺は家を出た。今朝は随分冷えている。
吐いたため息は白かった。