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Re: 世にもベタな冒険モノガタリ ( No.6 )
日時: 2011/01/11 14:47
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)
参照: *二次にイナイレが異常に多い件について*

#4

「——…次はー××市立病院前…——」
 不規則に揺れるバスの中に花束を持った俺はいた。
 なにも告白するわきゃねーだろ。期待するような目で見んなっつーの、そこ!

 一つ大欠伸をして、降りる。

 さーてと、行くか。
 病院内に入る。
 もはや顔なじみになった看護士さん達が会釈をしてくれる。
 …あ、あの人可愛い。

「!」
 急に脳裏に美玲の超怖い顔が浮かんだ。
『あんた、手出したらぶん殴ってやる』
 …こんなもんか、言ってる事は。

 ブルッ、と身震いし、同じように会釈した。
 ハァ。

 306号室、306、306…。
「ふぅ…」
 深呼吸、深呼吸。
 忘れるなよ、和羅。笑顔だ、笑顔!!
 言い聞かせて、勢い良くドアを開ける。

「じゃじゃあぁーーん!! 和羅さんですよーい、…っと」
 …寝てるし。
 目の前には、若い女性。
 あ、いや、俺の母親だ。

 母さんが事故に遭い、意識不明。そのまま下半身付随になったのは2年前。
 かなりきついリハビリをすれば、数パーセントの可能性で動けるようになるらしい。
 病院にいるのは母さんの意思だ。

「頑張れ…」
 呟いて、ベッドサイドの机に花束を置く。
 その内看護士さんがどーにかしてくれるだろ、多分。
「じゃあな」
 安らかに眠る、母さんに微笑みかけ、病室を出た。

 病院を出て、裏にまわった所に舗装されていない道があって、
 そこを通って帰ったらかなりの近道になる。
 もう暗くなり始めてるし、そっちから帰るか。

 走り出し、フェンスを越えた。
 美玲ほどじゃないが、俺だって運動できるんだぜぃw
「よっと」
 枝を掴み、一時停止。膝を曲げて、足首を柔らかくしてから枝を離してっと。
 無事着地!!

 ———その時
 ブ、プパアアァァァァァッ!!
 キュキキキィィィィィ…

 凄まじい爆音が聞こえた。
 向かいの舗装された正規の国道。
 絶体絶命の窮地に立たされているのは、あろうことか一ノ瀬美玲さん。

「ッ…」
 声も出せず、恐怖に固まっている美玲に迫るのは大型ダンプ。

 二度と、失いたくない。
 それに俺がほっておけると思うか? あいつの事。
 やめておけ、死ぬぞ。
 どこかで声がする。きっと心の声だろうな。
 (ここまでの時間、0.2秒)

 姿勢を低くして走り出す。
「美玲ッ!!」
 ダンプの前に踊り出た俺は、美玲を向こう側の茂みにブン投げた。
 目前に迫るダンプを見て、悟る。
 …逃げるのは無理だ。

「—————」
 逃げられない。
 どうする?
 1、背を曲げ、頭を守る。
 2、衝撃を最大限外に逃す。
 
 さあ、頑張れ、柏木和羅!! お前なら出来る。
 作戦1。まずは逃げられる所まで逃げるべしっ!!
 ダンプは急ブレーキ掛けているんだ。何とかなるだろ。
「うほおおおおぉぉぉぉおおッ!!!」
 猛ダッシュ。
 あり? もうダメだ…。

 よしッ。
 作戦2。背を曲げ、頭を守る!

「くッ…——」
 凄まじい衝撃と、閃光。

 え、待て、閃光だと?
 まだ明るいぞ。
 …って。

「いってえええええぇぇぇぇぇえ!!!」
 俺が叫んだ所は、道路じゃなかった。
 しかも、血だって一滴も出ていない。
 …ぷらすあるふぁー。

「うるさいわねッ! 驚いたじゃない!!」
 美玲。…いや、違う。
 そっくりだが…、茶色の髪は真っ黒。そして目は赤。
 
 どーゆーこっちゃ。