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Re: 世にもベタな冒険モノガタリ ( No.7 )
日時: 2011/01/25 22:08
名前: 玖織 ◆Kqe55SnH8A (ID: 7aD9kMEJ)
参照: *二次にイナイレが異常に多い件について*

          *

 まず、状況を整理しよう。
 俺はさっきまで道路のど真ん中でダンプに晒されていた。視界の隅には怯えた顔の美玲がいてさ、すんげー衝撃喰らった筈だったんだけどなぁ…———。
 それが今目の前にいるのは…。
「あんた、黙ってんじゃないわよ。何か言いなさいっ」
「あー…」
「…いっぺんブン殴るわよ、あんた」
 外見は全然違うけど、性格はそんな違いないらしいな。

「なんか分からないけど、すごく失礼なモノローグが流れている気がするわ」
 気のせいじゃないかなーと乾いた声で笑いつつ、視線を逸らした。

「———…アンタ、現実世界から来たの?」
 突然の意味不明な問い。現実世界だって? 現実以外に何か有るのかよ。
「何言ってんだコイツ馬鹿か? って目で見るのはやめなさい。マジで殴るわよ」
「はい、ごめんなさい」
「見てたのね!? 図星だったのねッ!?」
 ここで漫才をしてても意味がない気がするのは俺だけか?

「ここは何処なんだ?」
 意味不明の世界に来てからやっとまともな質問をしたな。
「————」
 しばらく何かを考えるように俯いてから、美玲二号は分かりやすいように言葉を選びながら言った。現実世界のこと、それからその他様々な事を。勿論、俺の17年間の記憶と知識を片っ端から覆すものだったのは言うまでもないだろう。

「…今居る此処はアンタにとっての平行世界パラレルワールドの一つ。現実世界はアンタの元居た世界」
 いや、初っ端から分からないんだが…。俺の質問は「その内分かるッ! 次行くわよ!!」と言う声と共に跳ね返された。
「平行世界と現実世界には同じ容姿の人物が存在する。アンタがあたしの顔見て驚いたのは、向こうに知り合いがいたからじゃないの?」
「ああ、いたな。髪の毛の色とか違うけど」
「そこなんだけど」
 はい? 突然だな、おい。
「それ、あたしも良く分からないけど…あたしの模擬人格なの」
「はあっ!?」

「あたしは——他にもいるけど——全世界の中で一人しか存在しないの。あー、平行世界にはあたしやアンタと同じような人間がいるのよ。そう、向こうにいたみたいにね。…あたしはある出来事があってね、消えたの、他の世界のあたしが。でも、一平行世界にしか存在しない人間がいたら全体のバランスが崩れるわけよ。だから、ある機関が他の世界に模擬人格を作ったの」
 お前とそっくりの人間をか?
「ええ。…ちょっとずれたわね。んーと、それからもう一つ違う世界があって…」
 もうすぐ来ると思うんだけど。そう呟いて、美玲二号は空を見上げた。

 …あ。
 そう言えば、美玲二号って変だよな。
「なあ、お前名前は?」

「レティシア・ローゼン。皆はシアって呼ぶわ」
 振り向いたシアの真紅の目が何故だか目に焼きついた。

          *