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おいでませ、助太刀部!! ( No.264 )
日時: 2012/02/08 23:11
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: pvHn5xI8)

「風葉っ、シフト一緒みたいだからよろしくねっ」

そんな四月朔日を尻目に、深間が兄貴に背負い投げされかけているようにしか見えない相斗に話しかける。
奇人変人が多い助太刀部内で一緒にいても確実に攻撃を仕掛けてこないことが保証されている深間とというのは当たりだろう。

助太刀部員の俺がいうのもなんだが、文芸部にも変な人が多そうだ。
つまり、実質安牌は深間1人。
…………どうしよう、安牌が既に全て切られてしまった。

「ちびっ子、今両手が塞がってるから見せて。 むっ、俺、翔とも相斗とも同じじゃないよ!?」

深間が言われた通り提示してくれたた紙に目を通した兄貴が不機嫌そうに言う。

「でも、(ブレーキ役がいないと死人が出るから)寮長とは一緒だよっ」

深間が精一杯のフォローをする。
すると、兄貴が左腕の中に収まっている朱里さんを見やる。

「朱里がいるなら……」

兄貴があっさりと引き下がる。
まぁ、兄貴は中学に上がって朱里さんに出会うまで友達いなかったしなぁ……。

「あと、この凪風と横山って誰? 助太刀部にいたっけ」

兄貴がシフト表で同じ時間の同じパートに配属されていた2人について尋ねる。
ちなみに兄貴も俺も相斗も全員ウェイターを担当することになっているらしい。

幸いなことに婆ちゃんの家が旅館だから、接客の仕方はなんとなく分かる。
あくまでなんとなくだが。

「ううんっ、2人とも文芸部員だよっ」

深間が答える。
そして、さっきドロップキックをキメてきた片割れ——凪風と綺麗な黒髪をまとめたポニーテールが魅力的な女の子を呼び寄せる。
話の流れからしてポニーテールの方の子が横山なのだろう。

「紹介するねっ、こっちのポニーテールの子が横山蕾姫ちゃんで、もう1人の背が高い子は凪風常夜ちゃんだよっ」

深間との高低差のせいでより高く見える凪風が兄貴にぺこりと頭を下げる。
同じ兄弟である俺と兄貴の扱いの差が激しい。

顔立ちは似てる、と言われるが、どう考えても兄貴の方が綺麗な顔立ちをしている。
そうか……母親のs

刹那、俺の頬を何かが視認できないほどの速さで掠めていった。

「なんか悪口を言われた気がした」

そう言ってお袋が手刀をしまう。
割と本気だったらしい。

女の勘って凄いというか怖いというか……。

「ふーん、アンタが岡崎のお兄さん?」

兄貴の方を向くと何故だか喧嘩腰にしか見えない横山と俺のみならず相斗にも逃げられて不機嫌な兄貴が話ているのが見えた。
不機嫌な兄貴に喧嘩腰で挑むとは……。

なかなか度胸のあるやつだ。

「は?」

案の定、眉根が寄っている兄貴が横山へ返事をする。
返事になっていないのは突っ込まないでおこう。