コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- おいでませ、助太刀部!! ( No.268 )
- 日時: 2012/05/19 06:39
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: F4bOQQzb)
- 参照: とりあえず、更新しましたー(´∀`*)
「……あの?」
鎖月が、俺の雑念を読み取ったかのような怪訝な目を向けてきた。
「何でもない、気にするな」
もしも、万が一にでも、沫に「こいつ、心にもないこと言ってるぜ」なんて言われた暁には色々と終わる。
そんな思考を読みとったのか、鎖月があっさりと引き下がってくれた。
依頼主に気を遣わせてしまったのだが、依頼を引き受ける側がこれでいいのだろうか……?
「あの……それと、もう一つお願いが……」
俺の動揺が収まったのを見計らって、鎖月が俺に耳打ちしてきた。
こんな変人に囲まれてたら、頭が痛くなったとかそんなところか?
有や朱里さんもたまに頭が痛いと言って、寝込んでるのを見かけるし。
2人とも兄貴の被害者なんだけどな……。
「この件、出来れば岡崎先輩とあの黒髪の大人しそうな先輩にお願いしたいのですが……」
「伊野のことか?」
「あっ、多分、その方です」
そもそも、ここにいる大人しい人自体、伊野しかいないのだが、一応、指を指して確認する。
案の定、合っていたようで、鎖月が肯定する。
「でも、なんで俺と伊野なんだ?」
遊園地に行った時はさりげなくお茶目な姿を見せてくれたが、初対面の人から見たら、無口無表情で取っつきづらそうな雰囲気を醸し出しているし、俺も今さっきまで、中子達と変なやりとりをしてた。
どうあがいても、良い印象は与えられないと思うのだが……。
「その……俺、どうにもチャラチャラした人とバカな人が苦手で」
最初は躊躇いがちに事情を説明していた鎖月だが、途中で開き直ったらしくはっきりと「バカ」と言った。
チャラチャラした人、っていうのは相斗で間違いないだろうが、バカな人……?
——そんなのたくさん居すぎて分からない。
学力的な意味でバカ、性格的な意味でバカ、趣味的な意味でバカ、など、バカに関してはこの部活にいない種はないと自負している。
「バカって、どのバカ?」
どんな質問だよ、と心の中で自分にツッコみつつ、尋ねてみる。
「正直に言ってもいいですか?」
鎖月が上目遣い気味にそう言う。
鎖月はファンクラブが出来るくらいの容姿をしているから、上目遣いなんてされると可愛いと思いはするが、もう嫌な予感しかしない。
「あぁ」
鎖月の意見を聞かないことには誰が担当するかさえも決められないし。
「深間先輩は学力的にですけど……他の方も学力とかそういう意味じゃない種類の……」
「それ以上は言わなくていいぞ!」
————これ以上言われたら、深間辺りが泣いちゃうだろうからな。