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おいでませ、助太刀部!! ( No.272 )
日時: 2012/07/15 20:36
名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: L3t15YTe)
参照: そしてこの鬱展開であるw

「最近、翔クンの元気がないのよねぇん……」
「そうなんだよね……。 昨日なんて、十三回も溜め息をついてたんだよ?」
「数学の授業中に三回も溜め息をついてたから、数学関係じゃないかしらぁん?」
「うーん……。 数学教師にセクハラでもされたとか?」

何故、僕達の部屋にこの二人がいるのだろうか。
でも、「甘え下手な翔でも向こうから甘やかしにかかってくる忍さんや中子さんには甘えやすいかもしれない」という考えが湧いてきたから、ひとまず放置することにした。

「おかえり、相斗! 今日は部活無いのー?」
「ッ!?」
「どうしたの?」

忍さんから目を離した二秒程度の間に、部屋の隅にいたはずの彼が僕に抱きついていた。
この人はワープでも出来るのだろうか。

「い、いえ……。 部活は休んできました」

余計なことをされて、翔に手間をかけさせるのは嫌だから、部活は無断で欠席してしまった。
まぁ、毎日出なくちゃいけないとかいう決まりは無いんだけどね。

—*—*—*—*—*—

「で、悩んでるのはよく分かったんだが、何故、私のところに?」
「え、別にななななな悩み相談に来たわけじゃねぇーよ?」
「少しは動揺を隠せ」

そう言うと同時に、俺の前にキレイな白い指が冷たい水が入ったグラスをおく。
白衣を脱いで、艶めかしい足を組んで椅子に座る。
相手が中子辺りであれば手放しで喜べたのだが、自分の母親の生足に興奮しろ、というのにはいささか無理がある。

わざわざ学校内でお袋に相談なんてした暁にはマザコン扱いされそうだが、他に秘密厳守が出来て、事情を呑み込めそうな人がいなかったのだ。
たしか、心理士の資格も持っているし、なんだかんだで一番適任だと思う。

「それで、相斗がどうした? 『また』傷害事件?」
「いや、違ぇよ」

お袋が自分の分のグラスを回す度に、保健室の独特な消毒液の匂いと不思議と静かな空間にカランという氷とグラスの透き通っていて涼やかな音が響き渡る。

相斗は昔——小学生の高学年と呼ばれる学年になってすぐに、クラスメイトの男子数名を刃物で切りつける、という凶行に走ったことがある。
もちろん、先生達に尋問されたのだが、相斗は何もしゃべらなかった。

————そして、先生達だけでなく、俺やお袋にも話してくれることはなかった。

「なんというか、相斗との距離がおかしいというか……」

そうして上手くまとまっていない言葉を継ぎ接ぎに繋いで、お袋に長々と説明をする。
お袋は俺の話を途中で止めたりすることなく、相槌だけ打って話を聞いてくれている。

「つまり、相斗が飲んだくれたり、突然怒ったりして困ってると」

……間違ってはいないが、そんな身も蓋も無い言い方をされるとは思わなかった。