コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- おいでませ、助太刀部!! ( No.276 )
- 日時: 2012/09/13 21:39
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: rc1iwi.s)
「伊野ちゃんっ!」
お昼休みに教室でお弁当を一人で食べようとしたところで、教室の扉の前で小さい女の子がこちらに向かって手を振りつつ、ピョコピョコと飛び跳ねていた。
私の周りで、そんなことをする知り合いは一人しかいない。
そもそも、わざわざ昼休みに他のクラスに押しかけてまで私に話しかけてくる人自体、彼女くらいなものだ。
「秋牙——」
今までの人生の中で出来た唯一と言ってもはばかられないまともな友人である深間秋牙の姿を確認したため、扉へと向かう。
「伊野ちゃん、ご飯一緒に食べよーっ」
そう言って彼女は自分の手にあるお弁当を掲げ上げる。
こちらとしては願ってもない申し出故、断る理由なんてない。
「うん」
頷いてから席においたままのお弁当を取りに行く。
私の席の近くで固まって食べている女子の仲良しグループの一人に「椅子貸して」と言われたから、「勝手にすれば」と言い、自分のお弁当をつかみ、秋牙のもとへ向かう。
「屋上っ! 屋上で食べようっ!」
ぴょんぴょんと跳ねている妙にテンションが高い秋牙が天井のさらに上にある屋上を指差して言う。
「いいよ」
特に屋上に行きたくない、ということはないから、秋牙の意志を尊重して屋上で食べることにする。
天気が悪い時は言わずもがな、夏場や冬場は気温次第で断る可能性もあるが。
—*—*—*—*—*—
「秋牙さん、まだかな」
「え? 深間も来るのか?」
屋上で事前に約束していた翔と落ち合い、同じく約束をしている秋牙さんを待っていると翔がそう言った。
そう言えば、翔にはまだ言っていなかったような気がする。
「うん、伊野さんも来るよ」
伊野さん本人に合わせれば、これでもかというくらいに顔に出やすい翔のことだ。
絶対に何かこぼすはずだ。
「あっ、風葉っ!」
屋上の入り口辺りで僕たちの姿を確認した秋牙さんが、ぴょんぴょん跳ねながら、こちらに向かって手を振っていた。
その横には相も変わらず無表情な伊野さんがちょこんと立っている。
一応、僕も彼女に手を振り返しておく。
僕の横にいる翔はもう秋牙さん云々言っている場合ではないくらいにお腹が空いているようで、彼自身が作ったおかずが詰まったお弁当箱を凝視している。
実を言うと、深夜に突撃してきた忍さんが作っていったものが大半なのだが。
深夜に来ることは迷惑極まりないのだが、忍さんの作る料理がいちいち美味しいから困りものだ。
