コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- おいでませ、助太刀部!! ( No.6 )
- 日時: 2011/04/24 14:42
- 名前: 野宮詩織 (ID: CrVsa58M)
第1章 「助太刀部? なにそれ、食べられるの?」
(part4)
「こんな部員を擁する部活が存在していることが許せないっ!!」
桜が刀を振り回しながら叫ぶ。
「俺は部員じゃないです!!」と言ったところで、今更、どうにかなるわけでもなさそうだしなぁ…。
突然、桜が何かを閃いたような表情になった。
誤解が解けたとかだといいんだが………。
「岡崎を殺しちゃえば万事解決じゃねぇーか」
案の定、やってきたのは危機からの脱出という嬉しい知らせではなく、殺害予告だった。
これ、死亡フラグ? 違うよな? 第1章で主人公死んじゃうの? そんな話見たことも聞いたこともないんだが!?
「全く……」
四月朔日、呆れてるのはよく分かったから助けてくれよ!!
偉大なる神とか救世主とか今すぐ俺のところに来い!! いや、来てください!! お願いします!!
もういっそ、舞踏王とかでもいい!! 戦闘経験とかなくてもいいからこの状況をなんとか打破してくれ!!
そんな切実な願いが届いたのか、ドゴォッという派手な音を立てて、扉が破壊された。
何!? マジで戦闘経験がある奴が来てくれたのか!?
でも、出来れば扉くらいは普通に開けるような人が良かったなぁ…。
そんなことを考えていると、桜が作ったものとは別のクレーター的な陥没跡が出来ていた。
えーーーーーッ!?
床が陥没するってどういうことだ!?
床の陥没の仕方が桜の日本刀とは違い、鈍器を思いっきり叩きつけたような感じだ。
って、そんなことを考えてる場合じゃないよな。
誰かが作ってくれたチャンスを逃す前に、急がず慌てず素早く逃げるべきだろう。
刹那、ブンッという重いものを振り回したかのような音が耳元で聞こえた。
「ヤバい、これはマジでヤバい」と本能が叫んだため、スライディングして鈍器(仮)をかわす。
横をチラッと一瞥してみると、壁には鈍器がめり込んだ跡があった。
危ねぇーーーー!! 間一髪にもほどがあるだろ!!
チャンスはチャンスだったが、俺が逃げるチャンスじゃなくて、桜が俺に止めを刺すチャンスだったな……。
「…歩、チャンス」
聞き覚えのない女の子の声が聞こえた直後、俺の目に映ったものは5つだ。
1.桜歩 2.陥没した壁 3.日本刀 4.見知らぬ緑色のショートヘアの女の子 5.見知らぬ桃色の髪を2つにまとめた女の子
4と5はともかく、1と2と3は幻覚だと信じたい。
「さらば、岡崎翔!!」
今のアニメの最終回みたいなセリフも幻聴だよな。
うん。 幻聴だ。 目の前には、綺麗な花畑が見えるけどな……。
キレイな女の子たちも見える……。 ここは桃源郷か? それとも、天国か?
「おーい、翔〜? 鈍器直撃したけど生きてるかい?」
相斗に声をかけられて俺は意識を取り戻した。
よかった……。 生きてる……。臨死体験はしたが、まぁ、命があっただけ良しとしよう。
「本当に緑香は優しいな。 あたしに止めを刺される前に気絶させて命を助けてやるなんて」
お前が優しくなさすぎるんだ、桜歩!!
「…それが普通」
全然普通じゃないぞ!!
「あれっ? いつの間にか2人増えてないっ?」
深間が至極当然の疑問を口にした。
でもな、俺に臨死体験をさせてくれたような奴だからマトモな奴ではないと思う。
「こっちの緑色の髪の方は花薇緑香だ」
桜が花薇とかいう人を紹介する。
見知らぬ2人のお陰で結果として一時的にだが助かった…。 少しだけ感謝しよう。
きっと桜よりは常識あるんだろうな。
「…よろしく」
花薇は普通に挨拶をしてきた。
うん。 桜よりは常識的だ。
…ただし、容姿が常識から外れている。
緑色のショートヘアにはカチューシャをしていて、セーラー服風のワンピースを着ている。
ここまでは全く問題ない。 制服を着ていないがそんなことはこの際気にしない。
手首には鎖が巻きつけてあって、その鎖の末端には鉄球が付いていた。
臨死体験をプレゼントしてくれた鈍器はこれだろう。
「で、こっちのピンクの髪の方は一条院桜ノ宮だ」
「よろしくねぇ〜」
名前は少し時代劇のような雰囲気はするが、それ以外は普通の人だ。
制服着てるし凶器携帯してないし……。
あれ? 俺の目から塩水が出てきたよ…?
「なんで泣いてるんだ?」
四月朔日が物凄い不思議そうな表情で聞いてきた。
その質問に俺は素直に答えた。
「桜と違って普通の人そうで安心しただけだ」
「あ?」
俺は今日、死ぬかもしれません。