コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- おいでませ、助太刀部!! ( No.7 )
- 日時: 2011/05/15 15:01
- 名前: 野宮詩織 (ID: C.IWX95H)
第1章 「助太刀部? なにそれ、食べられるの?」
(part5)
「……岡崎。 お前って、もしかして凄いバカなのか?」
「違う」と真っ向から否定できない自分が悲しい。
成績は悪くはないと思うが、良いというわけでもないんだよなぁ…。
「いや、成績の話じゃなくて、性格的な意味でバカなんじゃねーか?っていう話だ」
「なんで心の声が聞こえてるんだ!?」
「顔に出てたからな。 あっさり、考えてることが分かった」
そんなことまで分かるのか。 学年2位は伊達じゃないな。
四月朔日玄についてもついでに説明しておくと、容姿端麗、成績優秀などなどとんでもなく凄い奴なのだが、一つ、物凄い大切なものが欠けている。
それは、性格の良さだ。
四月朔日は本当に人間なのかどうなのかを疑ってしまうレベルにまで性格が悪いのだ。
しかし、性格を知らない下級生ないしは上級生には非常に人気が高い。
そんだけ良いものを持ってるのにもったいないよなぁ。 少し分けてく欲しいくらいだ。
「分けてやれねぇーよ」
「あれ!? また心の声だだ漏れだったのか!? ……本当に何か特殊能力とか持ってたりしないのか?」
「あるわけないだろ」
四月朔日が何食わぬ顔で嘘を吐く。
これを世間ではポーカーフェイスというのだろうか?
「そんなことより、アレ、どうするんだ?」
「お前のせいでご乱心の桜のことか?」
俺のせいなのか? いや、今の暴走は俺のせいだと思うが、これより前のは理不尽だったと思う。
「……ん? 桜が今も怒ったままなら、俺は既に死んでるよな?」
「……自分が死んでいる可能性があることに恐怖はないのか? まぁ、普通に考えたらそうなってるだろうな」
俺が死んでる可能性をあっさり肯定した四月朔日もどうかと思うが、普通に考えて俺も死んでるよなぁ…。
平和に会話が出来ている時点で「なんか、おかしいな」とは思ってたが。
「きゃーーっ!!」
あれ? なんで、深間が悲鳴をあげてるんだ?
というか、死後の世界だとしたら四月朔日と会話をすることができないはずだよな……。
ということは、俺、生きてる!?
よっしゃぁーー!!
何か、歴戦の勇者の気持ちが少し分かった気がする。 ピンチから脱した時の気持ちだけだがな。
「桜、そろそろ自重しろ」
四月朔日の言葉からすると、今は深間が被害にあってるのだろう。
深間だって、一応、女の子なのだ。 攻撃してはいけないと思う。
『部費、半減は困るのっ!! ○にして!!』
『駄目だ』
深間は俺の命よりも部費の心配をしていた。 酷い奴だな……。
確かに結果的には深間が桜の気を引いてくれたおかげで助かったが、今の会話を聞いていたら感謝の気持ちがどんどん薄れていく。
何故だろう…。 また、目から塩水が……。
「……泣いてもどうにもならないよ? あっ、そうそう。 さっき、四月朔日に翔の仮入部書渡しといたからね」
「はぁ!? 俺、印鑑とか押してないし、その前に紙をもらってすらいないぞ!?」
そもそも、今の今まで臨死体験をしてたんだぞ!? そんな俺がどうやって仮入部を書いたんだ!?
「印鑑は佑香さんから許可を取って拝借してきたんだ。 はい、返すね」
「ちょっ、これ本物じゃねぇーか!!」
「うん。 本物だよ」
何してくれてるんだ、お袋ーーーッ!!
確かに俺の家では「相斗は家族の一員」状態だが、実印を貸すのはどうかと思う。
「後半、妙に喋らなかったのはこれの為か……!!」
「うん、そうだよ」
「うん、そうだよ」と言った時の相斗の笑顔はこの上なくムカつく笑顔だった。
第1章 「助太刀部? なにそれ、食べられるの?」
完!!