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Re: 俺様メイド?!! ( No.3 )
日時: 2011/01/13 17:04
名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)

第1話

 それは、とある4月の日に起きた出来事である。

***** ***** *****

 その日。優亜はいつも通り家に帰宅して、いつも通りの放課後を過ごすはずだった。
 今日は数学の宿題が出たなー、とか。何しようかなー、とか考えながら帰った。

「ただいまぁ」

 そう言っても誰もいない。
 親は共働きで、家にいない事が多いのだ。
 優亜は、もう高1なので1人で留守番も出来るし、料理も出来る。

「ふわぁ……。いつも通り、宿題やるかなぁ……」

 大きな欠伸をしながら2階へ上がり、自分の部屋のドアを開けた。
 白を基調とした綺麗な部屋が目の前に広がる。
 だが、その部屋の中に、黒が見えた。
 そこに居たのは、メイド服を着た、優亜よりも背が高い女性だった。

「? 何でメイドが居るんですか?」

 優亜は思わず、そのメイドに訊いてしまった。
 すると、メイドはにっこりとほほ笑み、静かに腰を折って歌うような声で言葉を紡いだ。

「私、優亜様の専属メイドとなります。翔と申します」

 よろしくお願いしますね、と付け加えて、翔と名乗った女性は顔を上げた。
 黒い髪は高々とポニーテールにされていて、きちんとヘッドドレスまでつけられている。綺麗に添えられた手は白く、細い指がスカートをつまんでいた。
 なんて綺麗な人だ。

「えと、翔さん?」
「ハイ。飛翔の『翔』です。男の子らしい名前ですが、好きにお呼びください」

 翔は笑顔のまま、優亜に言う。
 うわ、この人超良い人。

「では優亜様。お荷物、預からせていただきます。お着換えが終わりましたら、呼び鈴でお呼びくださいませ。その間に、本日のおやつを作ってまいります」
「あ、ハイ。よろしくお願いします」

 優亜は思わず丁寧な口調で言ってしまう。
 翔はくすくすと小さく笑い、優亜の鞄を受け取った。そのまま部屋を出て行く。
 すごい人だ。
 優しそうだし、何より綺麗な人だ。
 優亜は思わず、小さな声で言ってしまった。

「綺麗な人だなぁ」