コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!! ( No.10 )
- 日時: 2011/01/16 13:24
- 名前: 山下愁 (ID: GlvB0uzl)
第3話
「おいてめぇ、こっち見てんじゃねぇよ!」
「ひ、ひぃ?!! み、見てません!」
「嘘つけ。こっちこいや、ボコしてやるからよ!」
朝から異様な光景。名門『華月学園』の隣にある高校、黒金高校の生徒が人を睨みつけていた。
その光景を見て、優亜は思わず目をそむけてしまう。
ハッキリ言ったら関わりたくない。だって、男だから。
「優亜様。黒金高校の不良にはお気をつけてくださいませ」
翔が心配そうな声で、優亜に言う。
どうして、と優亜が問うと、翔はこう答えた。
「あそこの高校には、数多の生徒を病院送りにしてきた不良がいるとの事ですから」
翔がそう言い、苦い表情を作った。
***** ***** *****
「ハ? 黒金高校の不良? あそこは不良の巣窟だろうが。何があったんだよ」
昼休み、博は牛乳を飲みながら首を傾げた。
優亜は翔の言葉が気になり、男でしかも兄が黒金高校の卒業生だと言う博に訊いてみたのだ。
「あそこにはな、不良が溜まりに溜まっているからよ。病院送りにしている生徒なんて山ほどいるぜ」
「そんなに悪いところなの?」
「悪いも悪い。すんごい悪い。お前みたいなお嬢様が、首突っ込むところじゃないよ」
博はそう言うと、また牛乳を啜った。
優亜は気になり、翔に訊いてみようとしたが、翔は教えてくれなさそうで止めた。
やはり、ここは直接行くしかないのだろうか。
そう思っていたら、翔が購買から買ってきた飲み物を持って、教室に戻ってきた。
「優亜様、ミルクティでよろしかったですね?」
「ありがとう。で、翔。黒金高校にいる、病院送りにした不良の名前を教えてくれない?」
「え、このメイドさん翔って言うの?!! うわ、良い名前ですね!」
しまった、というような表情をした翔はすぐに逃げ出そうとしたが、優亜に腕を掴まれてしまっ為、出来なくなってしまった。
翔は舌打ちをかまし、仕方なくその話を切り出した。
「その数多の不良を病院送りにしてきた生徒は、名前が分かりません。素性も、性格も、どこに現れるのかも全くの不明なんです」
「じゃぁ、その不良さんは、どうして病院送りにしたの? 何か理由があったんじゃないの?」
優亜は、翔に問い詰めた。
「何故生徒を病院送りにしたのかも分かりません。ただ、その生徒は人を助けた、という情報だけがあります」
「人を、助けた?」
「ハイ。かつあげをした生徒が、次の日には病院送りになっていた時がありましたね」
そうそう、と翔が思い出したように言う。
「その生徒の名前、確か『東』という名字でしたよ」
それだけ言うと、後は何も喋らなくなった。
何でこんなに詳しいのだろうか、と思った優亜はある仮説が頭をよぎった。
もしかして、翔は黒金高校の生徒じゃ——?
「翔って、黒金高校の生徒だったりしないの? ほら、16歳なんでしょ?」
「えぇ。確かに16ですが……。違いますよ、私はもう少し遠くの学校を飛び級で卒業しましたので。こんなに詳しいのは、世間話でよく耳にするからですよ」
それを訊いて安心した優亜は、ミルクティを喉に流し込んだ。
でも、やはり気になる。
気になる事は、調べるのが優亜なのだ。
なので、その『東』という生徒を調べる事にしようと思った。