コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-クライマックス突入!!-更新再開 ( No.153 )
- 日時: 2011/05/23 19:04
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第18話 3部
翔は自分の目の前にそびえ立つビルを見上げていた。
空につくんじゃないか、と思うほどに高いビル。傍にある表札には、きちんと『七尾』と彫られていた。
この七尾家のどこかに優亜が居ると考えると、とてつもない疲れが全身を襲ってきた。
「仕方ありませんね……」
翔はため息をつき、閉まられた自動ドアに近付く。
それで動かない事は分かっていた。だから翔は、とある行動をすると決めていたのだ。
すぅ、と息を吸い精神を落ちつかせる。そしてゆっくりと目を開き、ドアに向かって足を振り上げた。
「とぉッッッッ!!!」
普通なら可愛い掛け声だが、ドゴンッという盛大な破壊音と共に埃が舞う。
翔は飛び散ったガラスの破片を踏み砕きながら、ロビーの中へと入る。
音を聞いたのか、ロビーにはいつの間にか5人のボディーガードが集まっていた。
「お初にお目にかかります」
翔は丁寧にお辞儀をして、言葉を紡ぐ。
「私、相崎家のメイドの瀬野翔と申します。こちらにお邪魔しております、優亜お嬢様をお迎えにあがりました」
丁寧な口調で用件を述べ、翔は身構えた。
その途端、ロビーに居るボディーガード全員が、翔へと襲いかかって来た。
「まったく、なんて野蛮なんでしょう。……まぁ、俺も野蛮なんだが」
ニヒルな笑みを浮かべた翔は、フッと姿を消した。
目の前から居なくなった翔を探す為、ボディーガードは急停止する。
ロビー全体を見渡すが、メイド服のフリルすら見当たらない。
「こっちだよ」
突如、声が降って来た。
上を見上げてみると、天井に下がるシャンデリアにぶら下がる翔が居た。
翔はシャンデリアから飛び降り、両足を広げて近くに居た3人のボディーガードの顎へ蹴りを入れた。
床に着地し、残った2人のボディーガードには1人に脇腹への右ストレート、もう1人には左の足底での蹴りを顎へ叩きこむ。
ロビーに居るボディーガードを撃退し、翔は一息ついて手を払う。
すると、パチパチという拍手が聞こえてきた。
「いやぁ。お見事お見事」
ふと視線を声の方向へ移すと、オレンジ頭の男がのん気に手を叩いていた。
翔は怪訝そうに目を細め、相手が誰なのか記憶を探る。そして思い出した。
「お前——遊園地の?」
「そうそう。正解正解」
男はもう1度拍手をすると、にっこりとした爽やかな笑みを浮かべて手を差し出した。
「俺、樫月って言うんだよねー。よろしく?」