コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-クライマックス突入!!-更新再開 ( No.154 )
- 日時: 2011/05/24 18:21
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第18話 4部
樫月と名乗ったオレンジ頭はニコニコと笑っていた。
翔も同じように笑顔で対応する。両者とも笑っているのに、殺気が半端ない。
「優亜様をお返しください」
「それは出来ないな。優亜ちゃんは、坊ちゃんとお楽しみ中だからね」
樫月は笑顔を崩さず、言ってのけた。
翔の顔が引きつる。額に怒りのマークが浮かびあがり、口元はヒクヒクと痙攣を起こしたように動いていた。
「まぁ、返してほしければ通れば?」
「言われなくてもそうさせてもらいます」
翔は樫月の方を一瞥もせず、スタスタと横を通り過ぎた。
だが、樫月は翔の腕をガッシリと掴んで引き止める。
「……何でしょうか?」
鋭い眼光で睨まれたと言うのに、樫月はまだ笑っていた。笑い続けていた。
翔は1つため息をつくと、腕を捻り樫月の腕を払おうとした。
しかし、思ったより樫月は握力が強いらしく、いくら捻っても振りほどけなかった。
「何者、ですか?」
「大した奴じゃないけどね。東さんの1番弟子かなぁ、簡単に言っちゃうと」
ポリポリと自分の頬を掻きながら、恥ずかしそうに言う樫月。大地の事を尊敬しているのだろうか。
「……あの馬鹿の弟子か。どのくらい強いんだろうな?」
「アハハハハ。東さんほどじゃないけど、結構強いよ?」
樫月は軽く笑い飛ばしながら、翔の腕を引く。
バランスを崩した翔は、前に転びそうになってしまう。が、反動で蹴りあげようとしたのか、足を振り上げた。
しかし、樫月にはそんな攻撃が効くはずもなく、片手で受け止められてしまう。
「やっぱり男でもメイドさんみたいに弱いのかね」
「放し……やがれ!!」
翔はどなり、足を無理矢理樫月の手から引き抜いた。そしてバック宙で距離を取る。
樫月は感心したように、ひゅぅと口笛を吹いた。
「舐めてんのか!!」
「嫌だな。君なんか舐めたところで美味しくないじゃないか」
樫月はからかうようにヘラヘラと笑う。
翔はイライラしたような表情を浮かべ、強く歯を噛みしめた。だが、直後にため息をつき、戦闘態勢を解く。
おかしいと思ったのだろうか、樫月は後ろを向いた。
「こんばんは」
明るいロビーには不釣り合いな、漆黒の髪。1人はメイド服、もう1人は執事服を身につけた男女が居た。
メイドの方は身の丈を超える太刀を握っており、執事の方は小さなナイフを数本まるでカードを見せるかのように持っていた。
樫月には分かっていた。彼らが誰なのか、分かっていた。
遊園地で自分がボコボコにされた奴らだ。
「燐、雫……来たんですか」
「ここに来る来ないは僕らの自由です。あなたはやる事があるのでしょう?」
燐は樫月を睨みつけながら言った。
翔は「ふざけんな!」とどなって立ちあがる。
「俺が最初に戦ってたんだ。俺がやる!!」
「でしたら、優亜様は僕が救いましょうか?」
「……断る」
燐は翔に向けてにっこりと笑う。そして肩をトンッと軽く押した。
「行ってあげてください。僕では、役者不足なんですよ」
「……あぁ。ここは任せたぜ。燐、雫!」
翔は樫月の横をすり抜ける。
そんな翔を邪魔しようと、樫月は腕を伸ばしたが燐が投げつけてきたナイフによって拒まれた。
「邪魔すんなよ……マジで」
「するなと言われると余計にしたくなります」
燐が答えるよりか早く、雫がビシリと言い放った。
樫月は面倒くさそうに舌打ちをすると、翔を追いかけようと身を翻した。が、いつの間に移動していたのか目の前には燐が居た。
燐は楽しそうに笑うと、表情を無へと移す。
「さぁ……喧嘩をしましょうか?」
***** ***** *****
備品やら食品やらがある暗い倉庫の中。その中に、恵梨、博、雛菊、零音は居た。
段ボールから身を乗り出し、閉まられたドアへと向かう。
ドアを開け、辺りの様子をうかがった。
誰も居ない事を確認すると、4人はぞろぞろと壁伝いに移動する。
「何か……スパイみたいで面白いな!」
「喋んないでよ。気付かれるわ」
「まぁ、もう十分妖しいですけど」
「……どこ。優亜」
その時だ。
彼らに迫る、1人の影————。
「おい、お前ら」