コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-クライマックス突入!!-更新再開 ( No.155 )
- 日時: 2011/05/25 20:23
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第18話 5部
「ちくしょう……何でエレベーターまで見張りが居るんだよ」
翔は舌打ちをして、何とか階段でビルの10階まで来た。
額ににじむ汗を拭い、翔は廊下に視線を巡らせる。
誰も居なさそう、と確認すると階段の物陰から飛び出した。
「チッ……。このビル、何階まであるんだ!」
廊下を走りながら、翔は再度舌打ちを洩らす。
その時、翔の頬を弾丸がかすめ、壁に穴を開けた。
「これはこれは、相崎家のメイドさんではないですか」
スキンヘッドのサングラスをかけたボディーガードが、ハンドガンを構えて立っていた。
翔はものすごい嫌そうな顔を作り、ボディーガードと向き合う。
「何ですか、ハゲですか」
「聞き捨てなりませんね。スキンヘッドと言ってください」
ボディーガードは肩をすくめて見せた。
こんな奴を相手はしてられないので、翔はさっさと通り過ぎようとした。
すると、翔の横を弾丸が通り過ぎて行った。
面倒くさそうにボディーガードに視線を移すと、ボディーガードは柄にもない笑みを口元に浮かべていた。
「相手してくれますでしょうか?」
「面倒ですね……」
そんな事を言いつつも、翔は戦闘態勢を取った。
「桜井と申します。お手柔らかに」
「ご丁寧に名前を名乗って下さりありがとうございます。ですが私、物覚えが悪いので忘れますけど」
そう言った瞬間、2人は同時に床を蹴りぶつかり合った。
翔は右手に拳を作り、桜に向かって放つ。
しかし、桜井は翔の攻撃を片手で受け止め、逆の手で攻撃を仕掛ける。
反射的に翔は空いている左手で、桜井の攻撃を防いだ。
2人の実力は、ほぼ互角。
「やりますね……。ならば、これはどうでしょうか?」
桜井は翔の足を引っ掛け、転ばせる。
思い切り床に叩きつけられた翔は、体勢を立て直す為に身を起こした。
だが、それよりも速く桜井が反応して、銃を翔に突き付けた。
そのまま2人の動きが止まる。
「惜しいですね。あの俺様なメイド様が足を引っ掛けただけで転ぶなんて……」
「何ですか、俺様なメイドって!」
翔は苦笑いを浮かべて、桜井を睨みつけていた。
桜井の指が、引き金にかかる。ゆっくりと力を込め——
「……?!」
桜井の目が見開かれた。
何故か? そこに翔が居なかったからだ。
「どこへ……!」
その時、突然桜井の脇腹にまるでダンプカーにはね飛ばされたような痛みが突き刺さった。
視線を移すと、翔が後ろから回し蹴りを放っていた。
「おま、え……!!」
「ん? あんた、急に言葉遣いが悪くなったな」
翔は楽しそうなものを見た子供のような笑顔で、桜井に笑いかけた。
桜井は舌打ちをすると、脇腹にめり込んでいる翔の足を弾き返す。そして翔から距離を取る為に、バックステップで後退した。
だが、翔はそんな桜井を逃がさなかった。
ダンッと床を蹴り、天井につくのではと思わせるほどに高く飛び上がると、足を鉈のように振り下ろした。
桜井は頭の上で腕をクロスさせ、翔の攻撃を防いだ。
「……何なんですか、あなた」
桜井は翔を睨み上げながら、言葉を吐き捨てた。
翔は黒い笑みを桜井に見せる。
「何だろうね? 強いて言うなら……お前らの上司の弟さ」
翔は桜井の足を踏み台にして、また天井に飛び上がる。
桜井は宙に居る翔を売ってしまおうと思い、銃を構えた。
「そんなおもちゃで、俺を殺せるかよ」
翔は器用に身を捻り、天井を足場にして桜に向かって蹴りだす。
弾丸のような速さで桜井に飛んでいき、ピカピカに光るスキンヘッドに頭突きを叩きこんだ。
寺の鐘がなる擬音が聞こえてきそうな音を立て、桜井は床に倒れ伏した。
「眠ってろ、ハゲ」
翔は嘲笑を残し、上の回を目指す為エレベーターの方を一瞥する。
だが、エレベーターにも見張りが居た。ここもか……。
「あいつら、今なら倒せそうだな」
そう呟いたが後で面倒な事になるので、翔は諦めて階段を上りはじめた。
***** ***** *****
「何や、お前さんらか」
恵梨たちの前に現れたのは、何と学ランを持った睦月だった。
途端に、恵梨と零音の目が輝く。
「盾ゲットです!」
「ハァ? ちょ、何で人を盾代わりにしとるん? お前、おいは先輩やぞ!」
「後輩を、守って?」
「零音ちゃん可愛く言っても大阪人はごまかせません!」
2人の拘束を振りほどき、睦月はずんずんと奥へ進む。壁に隠れると言う行為をせずに、廊下を歩きだした。
その後ろに、恵梨達は続いて行く。
「……あのさ、何でおいの後ろに居るの? 博。お前さんは空手やらなんやら習ってんやろ?」
「無駄ですね。睦月先輩よりか弱いんで、俺」
博はペコちゃんのようにウインクする。
睦月はそんな博に1発、拳を叩きこみ廊下を進んで行った。
「おいは東さんに用があって来たんや。お前さんらを守る余裕はない」
「そんな事を言わずにさー」
「えぇい! 離れんか、お前らー!!」
4人に1人をプラスして、にぎやかになった。
……早く助けに行ったれよ。