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- Re: 俺様メイド?!!-クライマックス突入!!-更新再開 ( No.156 )
- 日時: 2011/05/26 19:10
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
俺様メイド 6部
「睦月先輩って、優亜の居場所を知ってるんですか?」
戦闘で廊下を歩く睦月は、「あー?」と答える。
しばらく間が開き、
「知らん。おいは東さんを探してるだけやから。届け物をしたら帰るで」
「そんな!! 優亜はどうでもいいんですか!」
恵梨は金切り声で睦月にどなりつけた。
しかし、睦月は睦月で「さっさと帰るから」と言う。あくまでも、彼は東の命令だからここに居るらしい。
「どうしても……ダメ?」
零音は、上目遣いで睦月に訊いた。
普通の男ならイチコロのはずなのに、睦月は「ダメ」と答えた。何、女の子に興味無いんですかあんた。
「ともかく、おいはお前らのお守りをしてる場合じゃないんや。つか、帰れ。使いもんにならん坊ちゃん」
しっしっと追い払う仕草を見せ、睦月は4人に背を向けた。
「……嫌です」
「あぁ?」
睦月は振り向く。
嫌だと答えたのは、恵梨だった。
睦月を睨みつけて今にも襲いかかりそうなオーラを醸し出している。
「私は、優亜の友達なのよ!! 友達が友達を助けないでどうするの?」
「……お前、それでええんか?」
睦月は、鈴鹿な声で訊いた。目つきは冷ややかな色を帯びている。
零音が後ろでヒッと悲鳴を上げた気がしたが、それでも恵梨は負けなかった。
「良いわよ。覚悟は出来てるから!!」
「そうじゃない。優亜ちゃんを助けたいのは、燐や雫、瀬野さんだって居るんや。お前らは、あいつらの邪魔になるけどそれで良いのかと訊いている」
流石に、この言葉には答えられない恵梨。
実際にそうだから。自分達は、彼らに迷惑をかけるだろう。
だがそこで、黙りこむ恵梨の代わりに博が答えた。
「自分の身は自分で守ってやるよ! 俺は空手も習ってるしな!」
自信を持って言い放った。
睦月は呆れたようにため息をつき、身を翻す。
「ついて来いや。東さんを探すついでに優亜ちゃんを救い出す」
「本当ですか?!」
恵梨は確認するように言った。
何だか疲れたような感じの「あぁ」が返って来た。
「じゃ、よろしくお願いしますね!」
「うるせぇよ黙りぃな」
やっぱり止めればよかったと心から思った睦月だった。
すると、ズルリという何かを引きずるような音がした。
少しだけ香血の匂い。まさかと思い、5人は一斉に後ろを振り向く。
「おや、皆様お揃いで。優亜様探しですか?」
燐がにっこりとした笑顔を浮かべて、廊下からやって来た。
後ろには雫が相も変わらずの仏頂面で、燐の後ろをついて行く。その手にはボロボロにされた樫月の足が握られていた。
樫月の方は、顔からつま先に至るまで満身創痍の状態で、雫に引きずられていた。
「ちょぉ燐さん!! どないしはったの、この兄ちゃん!」
「少し邪魔をされましたので、返り討ちにしました」
燐より早く、雫が答えた。樫月を引きずっていると言うのに、重そうな表情すら見せない。
睦月と博は、何も言わずにただ合掌した。
「それはそうと、恵梨様達がここに居る理由は大体分かります。何故、睦月が居るんです?」
燐は怪訝そうに眉をひそめ、睦月を見やる。
睦月は、自分は東に頼まれてここに居る事を伝えた。
「……なるほど。そうですか」
「あ、せやけどあの写真に写っとった東さんとは違うと思うんやけど」
「声ならいくらでも変えられます」
雫はピシャリと言い放つ。そして樫月の足を放り出し、スタスタと廊下を1人で歩いて行ってしまった。
燐は苦笑を浮かべると、雫の後ろに続いて行く。
「どこに行くんですか」
雛菊が燐に訊く。
燐は、まるでついて来いと言うように5人に視線を渡した。
「……行ってみようか」
「そ、そうだよね」
————瞬間。
「あれぇ、どうして優亜ちゃんのお友達が居る訳ぇ?」
ゾクリと思わせるような、ゆっくりとした殺気を含んだ声。
嫌な予感が体中を駆け回り、逃げろと本能が告げていた。
皆はゆっくりと、後ろを振り向いた。
「やぁ」
そこに居たのは、瀬野大地だった。
皆は息を詰まらせたみたいな表情を見せる。
「わ、私達を捕まえに来たんですか?!」
雛菊は叫んだ。もちろん、大地を睨みつけながら。
大地はガシガシと自分の頭を掻きまわし、そして可愛く笑って見せた。
「正解ぃ」
途端に、鈍い音と悲鳴が廊下に響き渡った。