コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!! ( No.24 )
- 日時: 2011/01/20 20:05
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第5話
「あ、翔。今日、あたしの友達が来るから」
優亜のいきなり発言。
食器を磨いていた翔は、思わず食器を落としてしまいそうになる。
「えーと……深江様と結城様ですか?」
「それもあるけど。あと2人いるの。昨日出来た友達」
優亜はそう言って、にっこりと笑った。
翔は小さなため息をつくと、燐の方に向く。
「燐、すみませんが洗い物をよろしくお願いします。私は少々部屋の掃除をしてまいります。雫には、家の周りを掃除しておくよう言っておいてください」
「分かりました。ここはお任せください」
燐は翔の言葉を素直に聞き、にっこりとした笑顔を浮かべた。
翔も笑顔で返し、優亜について行った。
「優亜お嬢様にお友達ですか……。楽しみですね」
燐は誰もいない台所で、1人つぶやいた。
***** ***** *****
それからしばらくして、相崎家のチャイムが鳴る。
もちろん、それは恵梨と博。そして、花旗雛菊と氷琉零音である。
「豪華な家ですね。アニメに出てきそうな」
雛菊はにっこりとした笑顔で、優亜の家を見上げていた。隣に居た零音は、黙ったまま同じように見上げていた。
もう慣れている恵梨と博は、静かに開けてくれるのを待っていた。
すると、ガチャリと音がして、ドアが開く。
ドアの向こうに居たのは、黒く長い三つ編みで、眼鏡をかけたメイド、雫だった。
雫は、無表情で頭を下げてこう言う。
「深江様、結城様、花旗様、氷琉様。お待ちしておりました。主人から話は聞いております。どうぞ、こちらへ」
雫は4人に背を向け、そして歩き出す。
「な、何だろ。新しい人かな?」
「そうなんじゃないの? にしても、仏頂面だよな。超怖い」
「よくある無表情キャラですね」
「……しっかりしてそう」
そうブツブツ話しあいながらも、4人は雫について行った。
2階に上がり、1番奥の部屋のドアを開く。
白を基調とした部屋に居たのは、優亜と翔のコンビだった。
「お待ちしておりました、皆様。花旗様と氷琉様は始めまして、優亜様がお世話になりました。メイドの瀬野翔です」
「申し遅れました。私、市之宮雫と申します。よろしくお願いします」
「あ、花旗雛菊です」
「……氷琉零音です……」
雛菊は、黒いツインテールを揺らしてお辞儀をする。零音もペコリと頭を下げた。
翔はにっこりとほほ笑み、優亜に言う。
「では優亜様。私は雫と一緒にお茶菓子を作ってまいります。何かご希望があれば、お聞きしますが」
「うーん。恵梨は甘いの嫌いだから、苦いショコラで。雛菊ちゃんと零音ちゃんは甘いの平気だよね」
「ハイ。平気ですよ」
雛菊はほほ笑みを崩さず言い、零音は小さく何度もうなずいた。
「かしこまりました」
翔は礼儀正しくお辞儀をして、雫を連れて部屋から出て行った。
博は翔の後ろ姿を見て、優亜に訊く。
「な、なぁ。翔さんって住み込み?」
「え? うん。住み込みよ、それが?」
「良いなァ」
博は羨ましそうな声をあげ、アンティークっぽい椅子に座る。頬をほんのりと朱色に染め、博の瞳は窓の外へ。
優亜はそこで、はたと思いだした。博は翔が好きなのだ。
いや、はたから見れば気持ちが悪いが、本人は気付いていないだけ。
翔は男だよ、と言ってしまいたいが、そこは我慢。
「翔さんが俺ん家泊ってくれたらさ……。あんな事やこんn「それよりさ、座りなよ」ちょっと、俺の妄想に付き合ってくれるという精神はないのかい?」
半泣きになりながら、博は言った。
そんな事を無視して、優亜は3人を椅子に座らせる。
「優亜さんのお家、すごい広いですね。すごいです」
雛菊は部屋を見回しながら、優亜に言う。
優亜はにっこりと笑顔で、ありがとうとお礼を言った。
「それにしても、あのメイドさん。いつも優亜さんの傍にいる人ですよね?」
「あ、あはは。そうね。いるね」
優亜が危険だから、翔は優亜の傍にいる事にしたのだ。
本当に過保護なんだから、と思う時があるが優亜は言わない。
「じゃぁ、楽しくお話しようか!」
「そうですね」
「うん……」
第2部へ続く!