コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!! ( No.26 )
- 日時: 2011/01/23 13:11
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第6話
それは、翔に対する悲劇である。
「翔さん! 俺からお願いがあります!」
いつも通りに翔は、優亜の飲み物を買って教室に戻ってきた所で、博に言われた。
一瞬時が止まったが、翔は笑顔で博に対応する。
「何でしょうか?」
「いや、あの……そので、すね……」
博は戸惑いながらも、決心したように翔に言う。
「俺とデートしてください!!!!」
ガシャガシャンッ(←翔が飲み物を落とした音)
ガッ(←博が翔の手をつかんだ音)
ドゴッ(←翔が博の腹めがけて蹴りを放つ音)
「な、な、おまっ……バカですか?!!」
「バカです! いえ、マジです! あなたとデートがしたいんです!」
優亜は思わず笑ってしまいそうになってしまう。
翔は男と気付いていない博は、顔を真っ赤にしてデートをお願いしている。
ここで注意してやるべきだろうか、と思うがもう少し見ていよう。
「良いんじゃないの、デートしてあげれば」
「え、優亜様それは……」
あいつ絶対面白がってる、と翔は顔で語っていた。
実際優亜は面白がっている。だって、翔が男とデートするかもしれないのだから。
主である優亜が命令すれば翔だって受けると思ったのだが、翔は超嫌そう。
「……分かりましたよ。デートしましょうか」
「本当ですか?!! やったぁぁぁ!!!」
翔は腹を括ったようだ。博のデートを受ける事にした。
博本人は大喜び。マジでばらしてやろうか、翔が男だと言う事。
優亜はそれを見て、げらげらと笑っていた。
***** ***** *****
「優亜!!! 何て事を言ってくれんだ、この野郎!」
「だって、友達のお願いだもん。聞いてあげ……ぶふっ……なきゃ」
「今笑ったろお前」
翔は家に帰ってきて、優亜にどなる。
優亜は笑いをこらえるのに、超必死だった。
「どうしましたか? 何かあったのですか?」
そこへ、燐が心配そうな顔をして翔に訊いた。
翔は言いたくないようで、燐と顔を合わせないようにそっぽを向いた。
しかし、優亜が翔が機嫌が悪い理由をばらした。
「翔と博がデートをするの」
「博……というと、結城様ですね。……ご愁傷さまで」
「燐! 表へ出ろ! 地獄を見せてやる!」
翔は笑う燐に、噛みつくように叫んだ。しかも、戦闘態勢になって今にも襲いかかりそうだ。
そんな翔を、優亜は必死に押さえていた。
「何をしているのです?」
「雫さん。聞いてくださいよ、翔さんg「それ以上言ったら殺す」あ、忘れました^^」
翔は燐から盗んだナイフを燐の首筋に押し当て、黒い笑顔を浮かべて脅す。
燐は苦笑いを浮かべて、近付いてきた雫に訂正の言葉を告げる。
仏頂面を少しだけ、不思議そうな色に染めた雫は首を傾げる。
「翔が嫌ならば、私は聞きませんが……。男性と男性がデートをするというのは流石にどうかと思います」
「初めから聞こえていたなら聞こえていたと言え……」
翔はため息をついて、雫に言った。
雫は「すみません」と謝り、翔に問う。
「それで。行くのですか?」
「あぁ、お前のルールとやらにもあるだろ。友達の約束は破らないって奴は」
「えぇもちろん」
否定はしない雫に、翔はさらにため息をつく。
「翔。じゃぁ、明日のデートに向けてお洋服を選ばなきゃね☆」
「え? メイド服で良いじゃありませんか」
「ダメ。可愛い恰好して、博を落とさないと」
「でしたら、私もお手伝いしましょう」
「雫さん助かるわ、ありがとう!」
「私にも何か出来る事があれば、お手伝いいたします」
「燐さんもありがとう。じゃぁ翔。おめかししようか!」
「嫌だあぁぁぁ!!!」
翔はこの後、地獄を見る事となる。
***** ***** *****
翌日。午前10時、☆☆駅前。
博はそわそわしながら、30分前に来ていた。
実のところ、翔が来てくれるのが心配だったのだ。いきなりメイドの仕事が忙しくなったので行けなくなった、と言われるのが怖かった。
だが、昨日はそんな連絡は来なかったので、安心出来る。
すると、青い空に黒いストレートの髪が舞いあがった。
「お待たせしました、結城様」
博の前に現れたのは、薄い桃色のTシャツに、黄緑色のカットソーを羽織り、白いロングスカートに桃色のパンプスを履いた翔の姿だった。手にはきちんと白い清楚なボストンバッグを持っている。
博は太陽のように顔を輝かせ、翔に笑いかける。
「では行きましょうか! あと、俺は結城様じゃなくて、博って呼んでくれると嬉しいな」
「分かりました。行きましょう、博様」
「様……。まぁ、いいや」
そんな2人を見守る、6人の人影。
言わずもがな、優亜と恵梨と雛菊と零音と燐と雫である。翔が心配で見に来た優亜と燐と雫と面白そうで見に来た雛菊と零音と恵梨に目的が別れる。
優亜は心配そうにため息をついた。
「大丈夫かな……翔」
「きっと上手くやりますよ。2人を邪魔する不穏な影は、私共が払いますので」
笑顔で怖い事を言っている燐である。
さぁ、この2人のデートの行方は、2部に続く!