コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!! ( No.34 )
- 日時: 2011/01/28 17:21
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8話
ある放課後の事だった。
いつも通り、優亜は恵梨と博と雛菊と零音と共に、下校をしようとした時だった。
校門のところで、誰かが倒れている……。
「……あれ、誰?」
零音はボソリとつぶやき、首を傾げた。海の様な髪が、横にサラリと滑った。
倒れているなら救急車か警察。常識!
優亜は安全を確認する為に、倒れている人に近付いた。
「大丈夫ですか?」
「……あ、ゴメン。おい、もう天国に召されるわ……。助けてくれた天使さん、ここまでご苦労様ですわー」
虚ろな瞳で空に向かって言葉を紡ぐ、金髪碧眼少年。学ランを着ているから、きっと黒金高校の生徒だろう。
優亜は焦って人に助けを求めたが、不幸にも誰も目を合わせてくれない。
黒金高校の生徒だからって、こんな仕打ちはないんじゃない?!!
そこへ、迎えに来た翔が優亜に近寄った。
「どういたしましたか?」
「あ、翔! 大変、この人が……」
翔は金髪碧眼少年を見るなり、目を細めそして胸倉をつかんだ。
何をするのだろう、と翔を見守っていた優亜だが、衝撃の光景を目の当たりにする。
なんと、翔はその少年に、往復ビンタを叩きこんだのだ。
「な、な、何をやっているの?!! その人、倒れていて……」
「いえ、平気ですよ。この人は」
翔はにっこりとした笑みを浮かべながら、少年にビンタを叩きこんでいた。
すると、少年はいきなり飛び起きて、空を仰ぎ見て絶叫した。
「惚れてまうやろおぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!」
どこかで聞いた事がある台詞だぞ?
金髪少年は、翔の手を取って、キラキラとした瞳で翔を見た。
「お姉さん。おい、あんたに惚れた! おいの女王様になってくださいお願いしますあのビンタが効きました!」
この金髪少年、相当のドMらしい。
翔はにっこりとした笑みを崩さず、金髪少年にチョップを喰らわして、気絶させる。そして、優亜達に向かってこう言った。
「とまぁこんな感じの人ですので、近付かない方がよろしいかと思われます」
「あ、そうなの……」
優亜は半分引きながら、うなずいた。
「翔さあぁぁぁん! 会いたかったですぅ!」
「私は別にどうでもよかったです。単刀直入に言うのなら……消えろお前」
「俺、最近頑張っているんですよ。翔さんの為に、空手や柔道やテコンドーを始めたんですよ!」
「そうですか。それでも、私には近づけませんね」
翔と博はそんな事を話していたが、優亜は金髪少年が気になってしょうがない。
近付かない方がいいと言われていたが、優亜は少しだけ近付いた。
その時だ。気絶していた少年がいきなり立ち上がり、翔に抱き付いた。
「惚れた! おいを舎弟にしてください姐さん!」
「ぎゃぁぁぁ! 離れろぉぉ!」
いきなり抱きついてきたのに驚いたのか、翔は少年に向かって回し蹴りを叩きこむ。
「な、な、何ですかあなた! 変態ですか!」
「変態や! おいはドMやからな!」
少年は胸を張って、大きな声で言った。
そんな少年にムカついたのか、博も負けじとどなった。
「翔さんは渡さないぞ!」
「……ほぉ、このメイドさんって翔って名前なんやな。覚えた」
「このバカ……」
翔はため息をつき、額を押さえた。
博は少年を指さして、そしてさらに大きな声でどなった。
「俺は結城博! 翔さんを狙うんだったら、この俺を倒せ!」
「ほぉう。天下の不良校である黒金高校に喧嘩を売るなんて、いい度胸してんやな、お前」
少年は笑って、金髪をヘアバンドであげて、口に棒付き飴をくわえた。
「おいは堂本睦月(ドウモト/ムツキ)や。黒金高校2年A組……ついでに言うなら、あの最強の不良『東』の親友や」