コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-完璧メイドは男の娘?!- ( No.40 )
- 日時: 2011/02/06 18:57
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第8話 3部
雛菊は、黒金高校の不良達と共に、路地裏に居た。
言わずもがな、不良達は雛菊の容姿に惹かれたのだろう。男の本能って奴だ。
「よぉ、姉ちゃん。俺らとさ、良いとこ行かない?」
「行きません。通してくれませんか?」
雛菊は笑顔でそう告げ、不良達の間をすり抜けて行った。
しかし、諦めが悪いのか、不良達は雛菊の腕をつかみ、自分の元に引き寄せた。
厭らしい笑みを浮かべ、雛菊に低い声で囁く。
「そんな事を言うなよ。なぁ、綺麗なゴスロリちゃん」
(くっ……。ここで、潰すか?)
雛菊はそう思い、不良に手をかけた。次の瞬間——
どこからか飛んできた石が不良の顔面に当たり、鼻血を出させた。
路地の入口。商店街を背に、石を持った優亜の姿が見えた。後ろには恵梨と零音と博が居る。
「た、助けに来たよ! 雛菊ちゃん!」
「優亜さん……」
どうしてここに、と言い終わらないうちに、不良は優亜の方へ手を伸ばす。
優亜は不良の手をはたき、そして叫んだ。
「雛菊ちゃんを返して!! もう1度、石を投げられたい?!」
「言うじゃねぇか。俺は強気の女の方が好みなんだよな。お前の方がいいわ」
不良は後ろに居る仲間に目配せをして、優亜達3人に再度手を伸ばした。
それに反応して、博が1番前に居た不良を蹴飛ばし、雛菊の腕をつかんで走り出す。
博に続き、優亜達も走り出した。
「なっ……?!! お、追え! あいつらを追え!」
不良達は5人を追いかける為、路地から飛び出した。
雛菊のゴスロリが目立つ為、人通りが多い商店街でもすぐに見つかってしまった。
相手の人数は5人。これはヤバイ。空手や柔道を習っている博でも、この人数相手には流石にきつい。
雛菊は、自分の腕をつかんで走る博に向かって叫んだ。
「博さん、私を置いて行ってください。私が目的なんですから!」
「何を言ってるの、雛菊ちゃん!!」
後ろから、恵梨が叫んだ。
振り向けば、そこに在ったのは恵梨の笑顔だった。
「あなたは、私達の友達なの。見捨てる訳ないでしょ?」
「……友達……」
雛菊の中で、何かが締め付けられた。
逃げる5人に追いついた不良は、優亜、雛菊、零音、恵梨を博から引き剥がし、博の腹に蹴りを入れた。
痛みにうめき声をあげ、博はその場にうずくまる。
優亜は懸命に抵抗をして、恵梨達を不良から引き剥がそうとしたが、圧倒的に力が強すぎる。
やはり、自分達だけでは無理だったか——?
「『東』さん。見つけましたぜ」
「ご苦労さん。睦月」
優亜の耳に届いた、凜とした声。視界に現れた、黒。
片方は金髪碧眼のドM少年、堂本睦月。だが、もう1人は見た事がない。
黒く長い髪は、何も結われていなくストレートで、黒い長ランに身を包んでいた。背負うのは、彼の身を超える大鎌。
その少年を見た瞬間、不良達は顔を強張らせた。
「あ、あ、東さん……。いつ、お帰りに?!!」
「……お前、いつ女を襲った?」
少年は、優亜達に目を落とし、呆れたような口調で問う。
「あ、の……これは……」
「言い訳は不要だ。欲情にかられた不良共」
少年はそれだけ吐き捨て、一瞬にして不良達をボコボコにした。
そう、一瞬。瞬きの間にして、少年はやっつけた。
優亜は少年を見上げ、訊いた。
「あの、お名前は——」
「お嬢が俺の名前を知ったところで何になる? さっさと家に帰りな」
少年は優亜に向かってそう吐き捨て、くるりと踵を返した。
睦月の間を通り過ぎ、人混みに消える。
「あー、東さん。機嫌悪いなぁ」
「……東さんって……あの不良の?」
零音は、睦月に訊いた。
「そうや。あの人こそが、黒金高校の最強不良——東や」
中途半端なところで、第8話エンド!