コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-完璧メイドは男の娘?!- ( No.46 )
- 日時: 2011/02/13 20:50
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
俺様メイド、番外編
【甘いバレンタインはいかが?】
「ねぇ、明日はバレンタインだから、皆でチョコを作ろうよ!!」
「良いですね。賛成です」
「……私も、作る」
恵梨、雛菊、零音はチョコを作るらしい。幸いにも、男である博は居ない。
優亜はどうするか悩んだ。
正直言うと、あげる人が居ないのだ。誰にあげればいいのか分からないし。
「優亜はどうする? 作る?」
「え、あ、うん」
そんなこんなで、優亜はチョコ作りに参加してしまった。
***** ***** *****
相崎家のキッチンは、ものすごい広い。使用人の3人——翔、燐、雫だけでも、かなりの広さだ。
そのキッチンで今日のおやつの支度をしていた翔は、優亜が帰ってくるなり、こう言われた。
「キッチンから出て行ってもらえる?」
訳が分からなかった。いや、まずそれは、帰ってから言う台詞だろうか?
翔はとりあえず笑顔を作り、優亜に訊いた。
「何故です?」
「い・い・か・ら・出て行け!!」
翔は優亜に、キッチンから追い出された。
何だろうと思い、翔はドアに耳を立てて様子をうかがう。
中からは、こんな声が聞こえてきた。
「すごいね、これならチョコもたくさん作れるよ!!」
「……システムキッチン」
「翔さんはいつもこのキッチンを使って美味しい料理を作ってくれていたんですね。翔さんにチョコの作り方を教えてもらえばいいのに」
「良いの、あの人は忙しいから!!」
(なるほどねぇ……)
翔は軽くうなずき、その場から立ち去った。そして軽く考える。
まぁ、優亜が自分にくれるはずはないだろう。だって、本人は男が嫌いなのだ。
性別を偽り、優亜の傍に居るから何になると言うのだ。
「ま、良いかぁ」
翔は大きく伸びをして、2階の掃除に取り掛かった。
夕方。恵梨達が家に帰った後、優亜は1人でキッチンの片づけをしていた。
後片付けぐらい、1人で出来るんだ!! えへん!!
すると、横から腕が伸びてきた。もちろん、そこに居たのは翔である。
「翔? 良いよ、これぐらい」
「私はメイドです。片づけが仕事なのですから」
そう言って笑う翔。慣れた手つきで、散乱した皿などを片づけている。
後から燐や雫も参加し、あっという間に片付け終わった。
「何をしていたのです? 調理場に近付いた時、爆発音が聞こえたのですが?」
「え? え、と。それは……」
しどろもどろな様子を見せる優亜のポケットから、1つのカップケーキが落ちた。
焦げていて、どこか食べれなさそう。つか、食べたら食中毒で病院搬送されそう。
優亜は急いでそのケーキを拾い、キッチンから飛び出した。
「? 何だったんでしょう、あれ」
「バレンタインじゃないの? 友達全員そろって」
翔はそれだけ言い、優亜を追いかける為に走りだした。
残された燐と雫は、お互い首を傾げていた。やがて、雫が燐にトリュフを差し出す。
「同僚として差し上げます。恵まれていなさそうですから」
「おや、美味しそうですね。ありがたく頂きますよ」
笑顔で受け取る燐。
雫は、どこか嬉しそうな表情を見せた。
一方優亜は、自室に閉じこもり、黒焦げのカップケーキをどうするか悩んでいた。
いや、ハッキリ言ったらこれは——ないだろう。うん。
「食べるかぁ……」
優亜がカップケーキに手を伸ばした瞬間、横から翔がケーキをひったくった。
平然とした様子でケーキを食べ、そして完食する。
「なっ……!!」
「美味かったよ、ごっそーさん」
翔はにっこりと笑い、部屋から出て行った。
1人になった優亜はベッドに飛び込み、そして独りごちた。
「あれ、本当は翔にあげるんだったんだけどなぁ……」
次の日。
翔は、腹を下して休んだ。何をしたんだ、優亜。
「やっぱり、不味かったんじゃん」
『うるせぇな。お前が腹を下すよりかはましだろうが』
めでたしめでたし?