コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-参照400突破記念でお題募集- ( No.68 )
- 日時: 2011/03/04 16:57
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第14話
6月。『星屑祭り』に向けて、華月学園は準備していた。
当然ながら優亜達も、出し物をやるつもりである。何をやるかと言うと、
「性別関係なしにメイド喫茶をやるとか何でだよ!!」
博は空を仰ぎ見て、大声で叫んだ。
優亜、博、恵梨のクラスはメイド喫茶をやるらしい。雛菊、零音とはクラスが違う為、メイド喫茶はやらないのだ。
ちなみに言うと、雛菊のクラスはお化け屋敷。零音のクラスは屋台をやるらしい。
女装経験のない(ついでに言うと、メイド経験もない)博は、かなり怒っていた。
「何でやるんだよ、くそぉ……」
「でしたら、メイドを学べばよろしいじゃないですか」
雛菊が笑顔で、しかもぬいぐるみで博を指差しながら言った。
最初は首を傾げていた優亜と博だが、零音が分かりやすく説明をする。
「……メイドさんに、どういう仕事をしたりすればいいのか、勉強すればっていう……話」
「なるほど!! じゃぁ、優亜の家だな!!」
「ちょ、何であたしの家なの?!」
勝手に話を進めた博に、優亜は訊いた。
「お前の家だけだろ。メイドさん居るの」
そうかー、メイドさんが居たんだったー。忘れてたー。
優亜は初めて、使用人達を恨んだ。
***** ***** *****
放課後、当たり前のように優亜、博、恵梨、雛菊、零音の5人は優亜の家に来た。
そして当たり前に、翔が5人を笑顔で出迎えた。
「お帰りなさいませ。恵梨様、博様、雛菊様、零音様もいらっしゃいませ」
まさにメイドの鑑。ピシッとした姿勢で、完璧に挨拶をこなす翔。そして流れるような動作で優亜達5人分の鞄を持ち、そのまま優亜の部屋へ案内する。
本当……これで男じゃなければ、正真正銘なメイドなんだけど。優亜はそう思ったが、口に出さなかった。
いつもの白で統一された広い部屋に通し、翔は5人にまたお辞儀をする。
「それでは、私はお茶を用意してまいります。しばしお待ちくださいませ」
ほほ笑むタイミングまで完璧だ。
部屋を出て行こうとした翔を、優亜は引き止めた。
不思議な表情を浮かべ振りかえった翔は、自分を引き止めた優亜に訊く。
「何でしょうか?」
「あの、その——」
優亜が言いにくそうにしていると、横から恵梨が事情を話した。
「翔さんをお手本にしてもいいですか?」
「お手本、ですか? 何のでしょう?」
訳が分からない翔は、ますます首を傾げる。
恵梨はそんな翔に、1つ1つ丁寧に説明して行った。そこでようやく話の内容が分かった翔は、笑顔で頷いて見せた。
「分かりました。そのようでしたら、私に務めさせていただきます」
よろしくお願いします、と頭を下げる翔。
博と恵梨は2人とも声をそろえて「「こちらこそ、お願いします」」と言っていた。
あー、こいつは本当は男だと言ってやりたい。
すると、零音がおどおどと口を開いた。
「……私のクラス、浴衣が必要なの……。でも、着付けが出来ない……」
「そうですねぇ。でしたら、雫さんにメイドの指導の方を頼みましょう。残念ながら、雫さんに頼むと大変な目に遭いますんで」
そうだ。この前雫に着付けを頼んだら、本当に大変な目に遭ったので、もうそうなりたくはない。
実際、優亜が体験したので(会社のパーティーに着物を着て行ったから)もう雫に着付けをしてもらいたくない。着付けは翔が1番上手かった。
翔は雫を呼び、3人にメイドの指導を頼むと、零音を連れて部屋を後にした。
「あの、翔さんは大丈夫なんですか?」
「あの人は何だって出来ますよ。メイドの指導ですね。まずは完璧に仕事をこなす事——」
そこから長々とメイドが何たるかを訊かされた3人だった。
途中から零音が綺麗に着飾った浴衣姿で登場したり、翔が呆れ顔でお茶を運んできたりした。
そして、星屑祭り当日——悲劇は起こる。