コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺様メイド?!!-参照400突破記念でお題募集- ( No.70 )
- 日時: 2011/03/06 14:26
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
第14話 3部
「へぇ、ここかぁ。華月学園ってのは」
「ちょっとちょっと。可愛い子、沢山いるじゃない!!」
「…………期待」
「ぃよっし!! 可愛い子をナンパしよう!!」
***** ***** *****
優亜と睦月は、雛菊のクラスのお化け屋敷に行ったり、零音のクラスの屋台を回ったりと結構楽しんでいた。
そしてふと、とある看板に目が止まった。
華月学園メインイベントである『格闘ゲーム大会』である。実際、運動部などが出場したりするのだが、飛び入りもOKらしい。
優亜は、そもそも運動部ではないので、興味はなかったが。だが、何故目にとまったかと言うと、優勝賞品が豪華なものだった。
「ほぉ、最近出来た遊園地の団体ご招待券かー。面白そうやな」
零音のクラスから買った林檎飴を頬張りながら、睦月は楽しそうな声を上げる。
実際行ってみたいが、こんな競技に参加する気もならない。
優亜は諦めてその場から立ち去ろうとした時、睦月に腕をつかまれた。
「な、何?!」
「お前さんならこれの出場の仕方、分かるやろ? どうやって出場すんのか教えてくれへんか?」
睦月は出る気満々らしい。
華月学園の運動部は、全国大会出場経験者。中でも空手部や剣道部、柔道部などの格闘術系は、優勝していたりするのだ。いくら黒金高校の不良だとしても、まともに技なんか喰らったら、死んでしまうかもしれない。
流石に優亜は、睦月を止めようとしたが、本人はやる気満々。どう止めても出場するだろう。
仕方なく、優亜は出場の仕方を簡単に説明した。
——死ななきゃいいけど。
『さぁさぁ始まりました。格闘ゲーム大会です!!』
ハウリングを起こしそうな程にうるさいアナウンス。それでも大会は始まってしまった。
ルールは簡単に言うと、相手をギブアップさせた方が勝ちのトーナメント式である。優勝者には遊園地の団体招待券が授与されるのだ。
もちろん、飛び入り参加した睦月は、優亜と一緒に開会式に居た。表情は生き生きとしていて楽しそうである。
「死んじゃうかもしれないよ? それでも出場するの?」
「何を言ってるんや。お前さんがチケットほしそうだったから、おいは出るだけや。おいもこんなゲームは好きだし。一石二鳥や」
でも……、と言葉を続けようとした優亜の口を、睦月の大きな手のひらが押さえた。
笑っている。今の睦月は、まるで自分の兄を思わせるような雰囲気を醸し出していた。
「大丈夫や。おいも、東さんと手合わせした事もある。伊達に黒金高校の不良とは呼ばれてへんで」
いや、だからそう言う問題じゃなくて。
すると、睦月の名前が呼ばれたので、「行ってくる」とだけ告げてリングへと向かう。
優亜はリングに向かう睦月を、ただ心配そうな目で見守っていた。
相手は柔道部のエース。投げ技なんてかけられなきゃいいけど……。
『ファイツッッッッッ!!!!』
掛け声がした瞬間、柔道部のエース、もとい成実君は睦月に勢いよく突進して行った。
睦月は余裕にその突進をよけ、その後頭部に鋭い前蹴りを叩きこむ。
昼間だと言うのにお星様を見る羽目になった成実君は、それでも立ち上がった。なんか、プライドとか言うのだろうか。
「やるなぁ、お前さん」
だけど、と睦月は言葉を続けて、床を蹴った。
空高く飛び上がる睦月。金髪が煌めき、碧眼が成実君を見下ろす。
「でも、黒金ではそーゆーの、通用せぇへんよ」
踵落としが脳天に決まり、成実君は気絶。一応これもルールになる。
わーわーと歓声が起こる中、睦月は笑顔を絶やさなかった。
優亜も安心。怪我せずに勝ったからだ。
まぁ、成実君の方は、頭から血を流してたんだけど。成実君、嫌われていたから良いや。