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- Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『番外編7、33話更新』 ( No.102 )
- 日時: 2011/07/22 13:57
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: /Z8pqfwj)
第34話『百合……かぁ。響きが良いよねbyスレ主←やっぱこいつもうダメだろby勇翔』
「…………はぁ」
「どうかしたんですか、大多喜先輩」
いつもの生徒会室で、向かい側の席の瑞樹が溜息をついている俺に、心配そうに言ってきた。俺はそれほど暗い顔をしているらしい。でもその理由は既に分かりきっているらしく、隣で涼しい顔をしてテストの成績表を見ている終都と俺を、交互に見ている。後輩に気を遣わせてしまっている。俺は無理矢理にでも笑顔を作ると、大丈夫だと首を振った。
「それより会長はどうしたんだ?」
「ああ、姉さんなら今日は———」
と、龍先輩が言ったとき。なにやら外が騒がしくなった。なんだなんだ?
すると、突然ガラッという音を立ててドアが開いた。見ると、会長の後ろに……あの人がキャンキャンと後ろにいた。
「ちょ、あんたしつこいわよ!」
「そんなことありませんわ!ねぇお姉様、お願いですから春姫のお願いを聞いて下さいぃ」
「くどいわ!!」
案の定、桜田さんだった。昼休みにあったばかりだと言うのにまた会うなんて……本当に、なんて今日は運が悪いんだろう。
桜田さんは関係者以外立ち入り禁止の生徒会室に、お構いなしにずかずかと入り込んでくる。ついでに会長のプライベートにもずかずかと入り込んでくるつもりらしい。
「どうしたんですか、会長。その後ろの」
「あー、彼女はね」
「新聞部の桜田春姫ですわ!!今日は新聞部の取材に来ましたの。もちろん、お姉様にしか用はありませんが」
相変わらず男子には容赦がない言葉に、生徒会の男子陣が唖然とする。後輩二人は「また変なのが来た」と言いたそうな目だ。
……おい、またってなんだよ。まぁ確かにキャラが濃いけどさ。
会長はうんざりという顔で、いつもの定位置——ハイビジョンTV——の前に座った。そして、乙女ゲームを始めた。それを見て桜田さんが吠える。
「お、お姉様!!私という人がいながら、なんでそんな妙にキラキラした野郎共といちゃいちゃしているんですの!」
「いや、これゲーム……」
会長が圧されているところなんて滅多にないので、後輩二人は面白そうに聞き入っている。
一方龍先輩と勇翔は悠然としていた。何でだ?
「お前知らないのか?桜田春姫って会長のファンクラブの会長だぜ」
「会長のファンクラブの会長?なんだか分からないがすごいな……」
っつーかファンクラブとかあったんだ。そのことに驚きだ。そしてそのファンクラブの会長が龍先輩じゃないと言うことにも、驚きだ。俺のその疑問を感じたのか、龍先輩がいつものように爽やかな笑みで言った。
「さすがに俺はそこまで姉さんには依存してないよ」
「そうですよね……」
「手に一眼レフカメラを持って姉さんの後をつけ回すことはあっても、ファンクラブの会長まではさすがにね」
「ファンクラブの会長よりもタチ悪いですね」
龍先輩のシスコンぶりは減速するどころか、瞬く間に加速していた。
俺たちが話している間に話がついたのか、桜田さんはいつの間にか来ていたカメラ担当の生徒と一緒に、会長へのインタビューを始めていた。
「では、お姉様———もとい会長さんに質問ですわ」
「今日は意外と真面目に始めるのね……」
「何か言いまして?お姉様」
「何でもないわ。始めてちょうだい」
その会長の言葉に桜田さんは手にしていたボイスレコーダーのスイッチを入れた。
「…………彼氏はいませんよね」
「質問じゃない上に断言された!」
「桜田春姫という方について恋愛感情を抱いているということは……」
「そんな事実は確認されていないわよ」
「近々桜田春姫さんに告白をするという噂がありますが……」
「あなたの脳内だけでね!第一、さっきから自分の事しか質問して無いじゃない!
もっと職務的なことを質問しなさいよ」
「仕方ありませんわね……。
では、改めて。毎年のことですが、会長さんが生徒の投票で決まりましたが、その辺についてはどう思います?」
やっと新聞のインタビューらしくなった質問になってきた。
……さっきの質問は本当に無駄だったな。
「そうね……。まぁその前の2年間生徒会に入っていた訳だから、私ぐらいしかいなかったんじゃない?っていう認識ね」
「では、今年の生徒会の選抜基準は?」
その桜田さんの質問に、会長以外の生徒会メンバー全員が反応した。
確かに、今年の4月に生徒会に入ってから今まで、そういったことは全然聞いたことはない。
聞きたいのだけれどなんだか聞きづらかったので、全く聞いていない。この際だから聞きたい。そう思って、全員が耳を済ます。
「そうね……。強いて言えば……適当?」
「「「「「何でだぁぁぁああああああ!!!!!」」」」」
「へ!?ちょっと何よ、あんたたち。いきなり吠えて。ヒステリーでも起こした?」
「起こしそうになるわ!!何ですか会長!俺たち3ヶ月近く一緒にやってきて、選んだ基準が適当って!!」
龍先輩は弟だからという理由だから良いとして、俺たちは赤の他人だったんだぞ!
まぁ俺は入学前に一度会っているけど、なのに適当かよ!入学前のあの日の「生徒会室に入りなさい」って言う言葉には、なんの意味もなかったのかよ!!
「いやぁ、ほらね。なんかこう……ビビビッと来たのよ」
「言葉のチョイス古っ!つーかそんな運命的な出会いはあんたの脳内だけだ!」
「酷いわねぇ大多喜。私は……運命というものを信じるのよ」
「少なからずこういうことだけで運命を信じてもらっちゃ困ります!!」
すると、ここまで黙っていた桜田さんがじれったそうに言う。
「ちょっと、今はお姉様へのインタビュー中ですわよ。それに、私はお姉様との運命しか信じませんわ」
「誰も聞いてねーよ!」
「……このお茶、うんめぇ〜」
「なんでここでそんな前世紀のギャグをするんだよあんたは!!」
しまいには会長が時代遅れのだじゃれを言ったところで、とりあえずインタビューは終わった。
だって、この流れでインタビューを続けると、校内放送並みにカオスな展開になること間違い無しだったから。