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Re: オタクな生徒会長は絶好調!?『34話更新、祝参照500突破』 ( No.103 )
日時: 2011/07/22 16:05
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: /Z8pqfwj)

番外編8『そろそろ後半戦に入ろうと思うのだけれど、どうやって入ろうか決めあぐねていた』

「休みだぁ〜」

時刻は午前9時。私は近くにあった白いワンピース(着替えが楽だから問いう理由で)に着替えると、天蓋付きのふっかふかのベッドにダイブした。
 今日は日曜日。普段はお父様の会社の方や取引先の方がたくさん来ていて、なかなか休めないのだけれど、今日は特にこれといったイベントもないために、久しぶりの休みだった。

「さてと、ゲームでもやるか」

私は寝転がったままP○Pを手に取ると、乙女ゲームの続きを始めた。



「お嬢様、お客様がお見えになりましたよ」
「お客様?」

ゲームを始めて数十分したとき、私の部屋のドアをメイドさんが叩いた。
お客って……誰だろ?特に会う予定の人はいないのだけれど……。私は不思議に思いながらも、乱れた髪や服装を整えながら玄関へと向かった。



「やっ、玲」
「か、奏汰君……」

なんと、私を玄関で待っていたのは奏汰君だった。いつものように爽やかな笑顔は忘れずに。
私は学校での奏汰君。つまり制服姿の奏汰君しか見たことがなかったから、私服姿の奏汰君に少しどきっとしてしまった。
今日の奏汰君のファッションは、黒い長ズボンに白いYシャツ、それに黒いネクタイをつけている。なんだかとても大人っぽくて、奏汰君にとても似合っていた。

「えと……な、何か用?」
「特にないんだけど、久しぶりに来てみたくなってね」

うぅ……。やっぱりその爽やかな笑みは反則だと思う。
私は照れた顔をさりげなく隠す。

「そ、そうなんだ。あ、じゃあせっかくだから上がってよ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ」



———大広間———
 私は奏汰君を大広間に通すと、メイドさん達に紅茶を頼んだ。
奏汰君をソファに案内すると、私はその向かい側に座る。な、なんだか緊張する……。

「奏汰君が私の家に来るの、何年ぶりかな」
「そうだね……。最後に来たのは玲の中学入学前だから、3年ぐらい前、かな」
「もうそんなになるんだ……」

3年前というと……確か、私が中学校の入学前の時にお母様とお父様と少しもめていたとき。
 私は普通の中学に行きたいと言ったのだけれど、お父様とお母様は私立の名門校を薦めた。小学校は普通の所に通っていて、それなりに仲良い友達もいたのだけれど、お父様は家の体裁と名誉、それから私自身のことを考えて私立の名門校を薦めた。そのときに仲が良かった奏汰君に色々と相談に乗ってもらい、最終的にはお父様達の言う私立の中学に受験することにした。
 当時のことを思い出しているのを感じたのか、奏汰君はふっと笑った。

「あの時は大変だったね」
「うん。お父様は奏汰君が私の相談に乗っているって聞いたとき、意地でも私立に行かせたかったみたい」
「へ?何で?」

その話は初耳だったのか、奏汰君が不思議そうな顔をする。そんな奏汰君の顔は滅多に見られないから、私は少し悪戯っぽい笑顔を作って説明する。

「奏汰君が私の味方したって思ったんじゃないかな。やっぱり12歳の娘は自分の言うことを聞かせたかったのに、自分に反発して、あまつさえ婚約者にまで敵に回されたら、父親として悔しかったんじゃない?」

その説明に、奏汰君はまた少し首を傾げる。私の説明、分かりづらかったかな?
そう思いながら私はメイドさんが運んできてくれた紅茶を、口に含む。

「それじゃあ、そのまま玲をさらっちゃえば良かったのかな?」
「ぶはっ!!」
「れ、玲?大丈夫?」

いきなりの言葉に私は紅茶を吹き出してしまった。その背中を奏汰君が優しくさすってくれる。
って、今この人なんて言いました!?なんかとんでもないことを抜かしやがった気がするんだけど!?

「か、奏汰君……今なんて……?」
「え?さぁ、なんて言ったでしょう」

奏汰君は私の真似をして、いたずらっ子の笑顔を見せた。どうやら私は一生この人に勝てないようです。
でも、背中をさすってくれてる奏汰君の手がとても優しかったから、許しちゃおうかな。
 私はその後、久しぶりの休日にしては実に有意義に過ごしたのでした。